2006 Fiscal Year Annual Research Report
頭髪、母乳及び臍帯のメチル水銀モニタリングによる妊婦のメチル水銀耐用摂取量の推定
Project/Area Number |
18590605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安藤 哲夫 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (10107865)
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Keywords | 環境汚染物質 / 児の成長・発達 / 母の頭髪総水銀濃度 / 臍帯 |
Research Abstract |
鹿児島県で漁業の盛んなI市およびW町において新生児の臍帯の提供を呼びかけたが倫理的な問題があり、実際に獲得までには至っていない。そこで、鹿児島県W町で40〜50歳代の住民に保存臍帯の提供を呼びかけたところ、提供に応じるとの情報がえられている。本年度はメチル水銀の曝露量を推定する試料が得られなかったので、これまでに収集していた試料の分析を試みた。鹿児島県M町の3、4ヶ月児健康診断の参加母児を対象に、母に対し研究目的、調査の内容、個人情報の保護、倫理面に関する配慮等に関し書面と口頭で説明し、母から書面での同意書を得て、母から母乳と頭髪を採取し、妊娠中と出産後の食生活を中心とする生活習慣について質問票調査を行ったものを用いた。これまでの3、4ヶ月児健診参加者は83組であるが、同意書を得た本研究への協力者(対象母児)の56組(3、4ヶ月児健診参加者に対する割合;67.5%)から食生活、特に魚食習慣等の生活習慣について、児の"首の座り"等の成長に関する質問調査をおこなった。母乳は43名(76.8%)、頭髪は54名(96.4%)からの提供があった。6、7ヶ月児健診では母の頭髪総水銀測定結果とその栄養学的意義についてのフィードバックをおこなったが、これにより、対象母児56組のうちの6、7ヶ月児健診参加者56組から56組(6、7ヶ月児健診参加者の100%)について引き続き本研究に対する協力が得られている。M町住民(母)の頭髪中総水銀濃度はこれまでの対象者を合わせた248名の幾何平均で1.60ppmであった。これまでのところM町の母の頭髪水銀濃度は低レベル傾向にあり、海岸のない地域を反映していると思われた。また、頭髪水銀濃度の最大値は7.04ppmであったが、このレベルでもこれまでの報告からは児への健康影響が顕著である可能性は低い。なお、初産と経産別に、母の頭髪水銀濃度を従属変数とし、児の出生体重、在胎期間、児の性、パーマネント処理および毛染め処理を説明変数として重回帰分析を行った結果、経産婦の母の頭髪水銀濃度は男児の母で高く(p=0.031)、魚食頻度ではなく一食当り魚摂取量が多いことで高いという関係がみられた(p=0.017)。
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