2009 Fiscal Year Annual Research Report
頭髪、母乳及び臍帯のメチル水銀モニタリングによる妊婦のメチル水銀耐用摂取量の推定
Project/Area Number |
18590605
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安藤 哲夫 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10107865)
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Keywords | 胎児 / メチル水銀曝露 / 授乳形態 / 頭髪水銀濃度 / 成長・発達 / 出生順位 / 歩き始め |
Research Abstract |
鹿児島県K市等で実施された乳幼児健康診査・健康相談における対象の母児の母に対する妊娠中と出産後の食生活を中心とする生活習慣とくに魚食習慣について質問票調査で得られたデータについて出産後3~4ヶ月時の母の頭髪と母乳の提供を求め、提供された頭髪の水銀濃度を指標に統計解析をおこなった。また、1歳6ヶ月児健診の時点までに得られた児の成長・発達についての調査を行った。母の頭髪水銀濃度と児の1歳6ヶ月時点での発達状況との関係を解析したが、何れの成長・発達状況と母の頭髪水銀レベルとに関係はなかった。ただし、児の歩き始めが誕生日以降に出現する頻度は初産の児では男児が女児よりも有意に高く、初産児を除いた場合、性差はないが母の頭髪水銀濃度と有意に高かった。そこで、児の出生順位が歩き始めと関係は別の集団(鹿児島県I市)の質問票調査で確認したところ、本研究と同様に、性差は初産児にのみ見られた。したがって、帰納的には児の歩き始めが誕生日以降に出現する頻度は母の頭髪水銀濃度に依存して高いことが示唆された。次に、初産児で授乳形態と児の成長・発達について統計学的に検討した。児が誕生日前歩き始めるか否かについてのロジスティック解析では3ヶ月までの母乳栄養児は人工栄養児と比べて有意に微笑む(境界は2.5ヶ月齢)、追視(3月)、なん語を言う(3月)、首をもたげる(3.5月)、聞き耳をたてる(3.5月)、好みがはっきりする(4月)、寝返り(5月)については、母乳栄養児は人工栄養児と比べてそれぞれ有意に発現時期が早かった。一方、歩き始めが誕生日以降であった(オッズ比6.5,95%信頼区間2.3~18.6,p<0.001)。ただし、鹿児島県I市の質問票調査で確認したところ、授乳形態と歩き始めの時期に関係はなかった。したがって、本研究で見られた授乳形態と歩き始めの時期との有意の関係は、授乳に関る要因にある可能性が示唆され、例えば、母乳中のメチル水銀濃度との関連を検討する必要を認めた。
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