2006 Fiscal Year Annual Research Report
各種増殖因子の細胞内動態を指標とした皮膚損傷の分子細胞生物学的エイジング
Project/Area Number |
18590642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
青木 康博 岩手医科大学, 医学部, 教授 (90202481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高宮 正隆 岩手医科大学, 医学部, 助手 (30364334)
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Keywords | 皮膚 / エイジング / 創傷治癒 / サイトカイン / 増殖因子 / 定量的PCR |
Research Abstract |
【目的】皮膚受傷後経過時間推定に対するサイトカイン発現動態の有用性はこれまでも,動物実験やヒト組織を用いた免疫組織学的解析により報告されてきた.今回,剖検例についてサイトカイン遺伝子発現を定量的に分析し,法病理的診断への応用の可能性を探った.平成18年度は皮膚全層における遺伝子発現動態の解析を試みた. 【方法】岩手医科大学医学部法医学講座の法医解剖例より受傷後経過時間が明らかで死後36時間以内に採取可能であった創周囲の皮膚を計102検体を採取し,試料とした.常法に従い,RNAを抽出し,cDNAを合成し,ABI PRISM 7500 Sequence Detectorを用いて,IL4 mRNA, IL10 mRNA, TNFα mRNA, VEGF mRNA, PDGF mRNAを定量した. 【結果および考察】受傷後早期から変動していたのはIL10 mRNAで,受傷後12時間から発現量が上昇に転じた.またIL4 mRNAは受傷後中期から後期に変動しており,受傷後33時間以降に上昇していた.受傷後後期に発現量が上昇していたのはVEGF mRNA, PDGFm RNAで,受傷後71時間以降に発現量が上昇していた.なおTNFα mRNAには治癒過程における発現量の有意な変動を認めなかった.今回検討した因子のうち,IL10 mRNAは急性期の指標となることが示唆された. 【今後の計画】laser microdissection法を用いて,皮膚を表皮,真皮,皮下組織に分割し,それぞれの部位における上記サイトカインの発現動態を解析し,分割して定量した際の有用性を検討する。また病理学的にも,皮膚全層のサイトカインデータおよび皮膚を分割して得られたそれを比較することにより、皮膚創傷治癒過程において、サイトカイン発現動態に強く影響を与えている部位を定量的に明らかにする.
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