2007 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性ペプチドの細胞分化促進作用を応用した新しい動脈硬化治療法の開発
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18590829
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
堀尾 武史 National Cardiovascular Center Research Institute, 内科・高血圧腎臓部門, 医師 (50393228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳留 健 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (00443474)
岸本 一郎 国立循環器病センター研究所, 内科動脈硬化代謝部門, 医師 (80312221)
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 研究所, 所長 (00112417)
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Keywords | 動脈硬化 / ナトリウム利尿ペプチド / 血管新生 |
Research Abstract |
前年度の研究結果により、内因性ANP・BNPが予想以上に強力な動脈硬化抑制効果を有することがわかった。この結果を受けて、研究の目的の達成のためには、より詳細に内因性ANP・BNPの動脈硬化治療における可能性を探求する必要があると判断し、動脈硬化病変で生じる血管新生における内因性ANP・BNPの役割について検討した。方法としては野生型マウスおよびANP、BNPの受容休であるGC-A遺伝子欠損マウスに下肢虚血モデルを作成し、血流回復度をレーザードプラ血流計にて評価した。結果、野生型マウスではモデル作成後3週間で血流は約7割程度まで回復したが、GC-A遺伝子欠損マウスでは非常に興味深いことに約半数のマウスで下肢が壊死・脱落し、血流の回復も2割程度に留まっていた。このことは内因性ANP・BNPが動脈硬化病変で生じる血管新生に大きな役割を果たしていることを示唆するものである。 今回の実験結果を受けて、我々はヒト末梢血単核球を血管内皮前駆細胞まで分化させ、ANP、BNPで刺激することにより、細胞内cyclic GMPが上昇するか検討した。その結果、ANP、BNP刺激にて細胞内cyclic GMPは濃度依存性に著しく上昇した。この結果は、動物実験の結果と一致するものであった。以上の結果により、内因性ANP・BNPは動脈硬化病変形成の抑制に働くだけでなく、病変が形成されたあと生じる新規血管形成にも大きく関与していることがわかり、臨床応用に向けて大きな前進が得られた。
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