2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲン非依存性前立腺癌の治療標的アクチビン・ヘッジホッグシグナルの機能解析
Project/Area Number |
18591029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野村 政壽 Kyushu University, 大学病院, 助教 (30315080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 敏彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30239818)
岡部 泰二郎 九州大学, 大学病院, 助教 (40264030)
中村 雅史 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30372741)
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Keywords | アクチビン / 前立腺癌 / ヘッジホッグ |
Research Abstract |
アンドロゲン非依存性進行前立腺癌でのActivin/TGF・β、Hedgehogシグナル間クロストークの存在を明らかにした。 I.前立腺癌細胞株・Xenograftモデルを用いた研究 プラスミド[EF1 promoter-ActRIB-IRESbGEO]を構築し、アンドロゲン非感受性前立腺癌細胞ALVA41を用いて、恒常的活性型アクチビンIB型受容体の発現強度の異なる複数個の安定発現株(ALVA-ActRIB)を樹立した。ActRIBの発現をwestern blotならびにLacZ染色にて確認し、機能的にもActivin応答性が発現量に比例して増加していることを確認した。これらALVA-ActRIBはin vitroでの細胞増殖に違いは見られなかったが、ヌードマウスのxenograftモデルを用いた検討では、ALVA-ActRIB由来腫瘍で組織学的にスキルス変化がみられ、興味あることに著明な腹腔内リンパ節転移が観察された。In vitroのmigration assayでもALVA-ActRIBで細胞の移動が亢進していた。ALVA41とALVA-ActRIB間でのDNAマイクロアレイ解析より、前立腺癌細胞におけるアクチビン受容体シグナルの活性化により、E-cadherin、Sonic hedgehog、VEGFなどの腫瘍の進展、転移に関与する分子群のmRNAの優意な増加がみられた。ActRIBシグナルがShhシグナルを活性化していること、Hedgehogシグナルは前立腺癌の悪性化に重要であることが報告されていることから、ActRIBシグナルが前立腺癌の進展・増悪に関わり、その抑制は一つの治療戦略であることが示唆された。 II.コンディショナルトランスジェニックマウスを用いた研究 ActRIBを組織特異的に個体レベルで発現させることを目的にプラスミド[CAG promoter-loxp/EGFP/loxp-ActRIB-IRESbGeo]を構築、ES細胞に導入後に胚盤胞インジェクションを行い、キメラマウスを作成、GLTが得られトランスジェニックマウスを作成した。PB-Creが入手困難であったため前立腺での過剰発現を目的にCre蛋白発現アデノウイルスを4週令マウス前立腺に感染させ、4週後に組織学的検討を加えたが腫瘍の形成は見られなかった。ActRIBシグナルは過形成や発癌過程ではなく、癌の進展・転移の過程に重要な働きをしていると考えられる。
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