2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性リンパ性白血病における遺伝子解析および新規癌抑制遺伝子の同定
Project/Area Number |
18591071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
武内 世生 高知大学, 医学部附属病院, 助教授 (50253349)
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Keywords | 小児急性リンパ性白血病 / 癌抑制遺伝子 / LOH / LOI |
Research Abstract |
本年度行った研究にて、申請者は以下の二つの知見を得た。 (1)小児急性リンパ性白血病におけるLOH解析とその臨床的意義 染色体6q,9p,11q,および12pのloss of heterozygosity (LOH)を解析し、その頻度および臨床的意義について解析した。多施設共同研究(ALL-BFM 90)に参加した244例の初発ALLにつき、31個のmicrosatellite markerを用いてLOH解析を行った。169例のALL(69%)で、少なくとも1つのマーカーにおいてLOHが認められた。それぞれの染色体におけるLOHの頻度は、6q,49例(20%);9p,97例(40%);11q,29例(12%);12p,60例(25%)であった。臨床データの解析では、6qにLOHを有する症例は若く(p=0.01)、初診時の白血球数は少なかった(p=0.02);9pにLOHを有する症例は髄膜浸潤を高頻度に示し(p=0.01)、T cellタイプが多かった(p=0.0001);11qにLOHを有する症例は寛解導入療法に良好に反応した(p=0.02);12pにLOHを有する症例は若く(p=0.005)、B cellタイプが多く(p=0.001)、予後良好であった(p=0.05)。以上の結果より、小児ALLにおいてLOHは高頻度に認められる異常で、病型分類に有用である可能性が考えられた。 (2)インスリン様成長因子2のゲノム刷り込み喪失と正常造血細胞増殖の関係 健常人由来の骨髄および末梢血をコントロールとして、骨髄異形成症候群(MDS)患者骨髄細胞におけるIGF2の刷り込み状態を解析した。次に、正常末梢血中のT細胞を用いて、ゲノム刷り込みと細胞増殖の関連を調べた。MDS患者24名中22名(92%)でLOIを認めた。LOIは正常骨髄でも認められたが、正常末梢血はROIを呈していた。ROIを示した正常T細胞は、PHA添加後にLOIへと変化し、IGF2RNAは6倍増加し、増殖スピードは10-20倍増加した。ICRのCpG islandsはPHA刺激前には一方のアレルでメチル化され他方のアレルで脱メチル化されていたが、刺激後は両アレルでメチル化された。
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