2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の神経細胞変性における興奮素性に関する研究
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18591272
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水上 勝義 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (20229686)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経細胞変性 / GABA神経伝達系 / 神経原線維変化 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の興奮毒性仮説の詳細を検討する目的で、以下の実験を行った。 1.GABA受容体は、アルツハイマー病海馬の神経細胞の変性を抑制する 【方法】19例の剖検脳海馬(6例は非認知症、13例はAD)の40μ厚の切片に対して、GABA受容体(γ1及びγ2)に対する抗体を用いて免疫染色した。さらに神経原性変化の標識と二重染色した。 【結果】γ1およびγ2の染色性は、ADの神経細胞変性が軽いCA2,3,4領域で増強した。またγ1およびγ2が増強した神経細胞には神経原線維変化の形成を認めなかった。 【結論】この結果からGABA受容体のγサブユニットがAD病理に対して抑制作用を有する可能性が示唆された。 現在Psychiatry and Clinical Neuroscience誌に投稿中である。 2.Ubiquilinの染色性はAD海馬の神経細胞内で変化する 【方法】ubiquilinはGABA受容体やpresenilinの調節機能を有しており、AD病理に対しても重要な役割を持つことが推察される。そこで19例の剖検脳海馬(6例は非認知症、13例はAD)の40μ厚の切片に対して、ubiquilinに対する抗体を用いて免疫染色した。 【結果】ubiquilin染色性は、中等度ADのCA2およびCA3領域で増強した。また神経原線維変化や老人斑もubiquilin陽性であった。ただし高度ADではubiquilin染色がしばしば低下した。 【結論】ubiquilinはAD病理に反応して増減する。その機能の解明については更に検討が必要である。
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