2006 Fiscal Year Annual Research Report
強迫性障害発症要因研究、PANDASとの関連性検討
Project/Area Number |
18591305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松永 寿人 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20254394)
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Keywords | 強迫性障害 / 神経免疫学的検討 / PANDAS / 次元分類 / 症状構造 / セロトニン / ドーパミン / 強迫スペクトラム障害 |
Research Abstract |
我々は、強迫性障害(OCD)に関する成因研究として、 A群β溶血性連鎖球菌感染症など、神経免疫学的側面からの検討を行っている。現在、文章同意取得に至った特に若年発症のOCD患者、及び家族に対し、リウマチ熱などの既往を中心とした病歴調査を行っている。この様な患者のOCD発病は、異常な自己免疫反応による線条体の形態的、機能的異常を介することが推定されており、1)チック障害など神経学的症状の確認、2)MRIによる大脳基底核の形態的検査、3)SPECTによる同部位の脳機能的検査などを併行し、治療的にはセロトニン系抗うつ薬のみならず、非定型抗精神病薬などドーパミン系阻害を積極的に併用している。例数が集まれば、まず邦文報告を企画している。 一方、この様な神経免疫学的関連は、OCDに共通ではなく、この傾向がOCDの特異的亜型の分類指標となる可能性がある。すなわちこの様な一群の臨床的特徴、及び治療法や予後の検討は、臨床的にも意義深い。この様なOCDの分類指標について、欧米では、強迫症状の内容による次元的分類が検討されており、従来3-6因子構造が報告され、contamination/washing & cleaning、 symmetry & ordering、 hoardingなど、各研究の中で概ね一貫し、安定的に抽出されている因子がある。しかし、強迫症状自体は文化差などの影響を受けうるものであり、これが本邦のOCD患者に於いても、十分な信頼性を示せるかは本研究の予備的調査としても、またこの分類法の妥当性や臨床的有用性を裏付ける上でも、極めて重要である。 我々は、本邦のOCD患者343例の強迫症状を因子分析し、症状構造を検討した。その結果、1)汚染/洗浄、2)保存、3)対称性/繰り返される儀式行為・整理整頓、4)攻撃的/確認の四因子が抽出され、これらの累積寄与率は約60%であった。各dimensionが示した臨床像も概ね欧米の報告と一貫しており、この様な症状構造が、生物学的特異性など、より本質的なものと関連する可能性が考えられ、現在American Journal of Psychiatryに投稿している。今後この結果をふまえ、精神免疫学的背景との関連性を検討し、関連学会、ならび国際誌に投稿する予定である。
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Research Products
(7 results)