2007 Fiscal Year Annual Research Report
強迫性障害発症要因研究、PANDASとの関連性検討
Project/Area Number |
18591305
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松永 寿人 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (20254394)
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Keywords | 強迫性障害 / 神経免疫学的検討 / PANDAS / 次元分類 / 症状構造 / セロトニン / ドーパミン / 強迫スペクトラム障害 |
Research Abstract |
我々は、強迫性障害(OCD)に関する成因研究として、A群β溶血性連鎖球菌感染症など、神経免疫学的側面から検討している。現在、文章同意取得に至った特に若年発症のOCD患者、及び家族に対し、リウマチ熱などの既往を中心とした病歴調査を行っている。未だ統計的検討を行うに例数が十分ではないが、英文による研究報告を企画している。 一方この様な神経免疫学的関連は、この傾向の有無がOCDの特異的亜型の分類指標となる可能性がある。実際DSM-Vでは、PANDAS(連鎖球菌感染症関連自己免疫精神障害)分類基準とすることが検討されている。すなわちこの様な一群の臨床的特徴、及び治療法や予後の検討は、国際的にも意義深い。この予備的検討として、OCDの下位分類指標研究の動向や現況に関し、従来の報告を概観・総括して、総説として報告した(精神神経医学雑誌2008)。一方欧米では類型的分類基準に代わり、強迫症状の内容による次元的分類基準が検討されている。この採用もDSM-Vで検討されているが、従来3-6因子構造が報告され、各研究の中で概ね一貫し、安定的に抽出されている因子がある。しかし強迫症状自体は、社会文化的背景の相違による影響を受けるとされている。 我々は、本邦のOCD患者343例の強迫症状を、欧米の報告と同一手法による因子分析を行い、症状構造を検討した。その結果、1)汚染/洗浄、2)保存、3)対称性/繰り返される儀式行為・整理整頓、4)攻撃的/確認の四因子が抽出され、これらの累積寄与率は約60%であった。各dimensionが示した臨床像も概ね欧米の報告と一貫しており、この様な症状構造が文化的相違に関与せず、生物学的特異性など、より本質的なものと関連する可能性が考えられ、American Joumal of Psychiatry(2008)で報告した。更にOCD、及びOCD関連障害への社会文化的背景の影響を報告した(CNS Spectrums2007)。今後これらの結果をふまえ、表現型としての症候学的特徴と精神免疫学的背景との関連性を検討し報告したい。
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Research Products
(11 results)