2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線によるDNA損傷修復機構に関わる分子を標的にした放射線感受性増感の研究
Project/Area Number |
18591376
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
秋元 哲夫 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 准教授 (10261851)
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Keywords | 放射線 / 分子標的 / 放射線感受性 / DNA損傷修復 / 放射線生物 |
Research Abstract |
DNAの2重鎖切断の修復部位にフォーカスを形成するH2AXの変化について放射線感受性との相関および放射線と温熱併用時について下記の結果を得た。癌細胞の放射線照射後にH2AXのフォーカス形成の変化を蛍光抗体法で定量すると照射後5〜30分後にピークとなり、その徐々に消失する。その消失速度と放射線感受性との相関を検討すると、放射線抵抗性の癌細胞ほどH2AXのフォーカス形成が遷延し放射線感受性との相関が認められた。Hsp90阻害剤の併用で放射線感受性の相乗的な増感が得られる条件では、Hsp90阻害剤を併用した細胞でH2AXのフォーカス形成の増加と消失の遅延が認められた。これは放射線感受性増感の機序にDNA損傷とその修復機構の修飾が関与することを示唆している。次に温熱による放射線感受性増感(Thermal radiosensitization)の機序として温熱による放射線誘発DNA損傷の修復阻害や抑制が考えられているが、H2AXを指標としてこのメカニズムを検討した。その結果、温熱単独でもH2AXのフォーカス形成は認められたが、そのピークは43度の温熱処理後6時間と放射線よりlate phaseであった。放射線に温熱を併用するとH2AXリン酸化は抑制されないが、核内フォーカス形成が放射線単独に比較して有意に減少していた。H2AXフォーカスにcolocalizeするNbslフォーカス形成も抑制されていた。これらの結果より、温熱によるH2AXのDNA2重鎖切断センサー機能または障害部位への修復酵素のアクセス阻害が関与している可能性が示唆された。H2AXに対するsiRMA導入でフォーカス形成が抑制されることより、この成果を基に今後H2AXを標的にした放射線増感についてさらに研究を継続・発展する予定である。
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