2006 Fiscal Year Annual Research Report
BMPシグナルによる滑膜線維芽細胞の軟骨細胞分化と炎症性サイトカインの作用
Project/Area Number |
18591653
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 修一 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (80401066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282661)
門野 夕峰 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70401065)
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Keywords | BMP2 / TNF-alpha / p38 / Smad1 / 5 / 8 |
Research Abstract |
われわれは滑膜組織の構成成分である滑膜線維芽細胞(SFc)に対するSmad系シグナルが軟骨分化に重要な役割を果たすことを報告した。この軟骨分化能に対するbone morphogenetic protein(BMP)-2及び炎症性サイトカインの作用を検討している。人工膝関節全置換術時に採取したリウマチ患者から採取したSFcに、BMP-2単独、BMP2とIL-1、BMP2とTNF-αで共刺激した。リアルタイムPCR法、ウエスタンブロット法、組織染色法を用いて軟骨分化の検討を行った。BMP-2刺激によってSFcにおける早期軟骨分化マーカーであるII型コラーゲン、アグリカンはmRNAレベルで発現上昇を認めたが、肥大化軟骨分化マーカーであるX型コラーゲンの発現上昇は認めなかった。BMP-2と同時にIL-1、TNF-αで共刺激するとII型コラーゲン・アグリカンの発現低下と同時にX型コラーゲンの発現上昇を認めた。BMP-2単独刺激ではSmad1/5/8シグナル伝達経路とp38シグナル伝達経路が活性化された。BMP-2と同時にIL-1、TNF-αで刺激すると、Smad1/5/8シグナルの活性化レベルはBMP-2単独刺激と差を認めなかったが、p38シグナルの活性化レベルはBMP-2単独刺激と比して著明に亢進していた。組織学的検討ではBMP-2で刺激したSFcは軟骨基質産生を認めたが、IL-1、あるいはTNF-αの添加によって軟骨基質産生は抑制され、石灰化の促進を認めた。以上より、BMP-2はSFcの軟骨分化を誘導すること、炎症性サイトカインはp38のoveractivationを介してBMP-2によるSFcの軟骨分化にcatabolicな作用を有すると考えられた。今後は炎症性サイトカインによって誘導されるシグナル伝達経路の軟骨分化への関与をシグナル特異的阻害剤を用いて詳細に解析する予定である。
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Research Products
(3 results)