Research Abstract |
リモートプレコンディショニングの機序に関与する脊髄組織酸素分圧の変化の解明のために下記実験を行った。日本白色ウサギを対象として,静脈路を確保後,ペントバルビタールの静脈内投与で麻酔を維持し,終末呼気炭酸ガス分圧を35-40mmHgに維持するように酸素加空気にて調節呼吸を行った。脊髄組織酸素分圧を測定するために,腰部脊椎の椎弓切除を行い,腎動脈分岐部直下において大動脈周囲にクランプ用カテーテルを設置した。脊髄組織内に組織分圧測定用の電極を挿入した(Licoxsystems:GMS Keil-Mielkendori,Germany)。12羽のウサギを2群に分けて(コントロール群、プレコンディショニング群;一側の上下肢をターニケットで20分間遮断・解除を大動脈遮断直前に行う)、腎動脈分岐部直下において大動脈遮断を20分間行った後,遮断解除して再灌流を行い,大動脈遮断直前(baseline),大動脈遮断直後,大動脈遮断20分後,遮断解除0,2,5,15,30,60分後に脊髄組織酸素分圧の変化を測定した。脊髄組織酸素分圧は,大動脈遮断20分後、解除後0、2分後に有意な低下を示し、その低下はプレコンディショニング群で有意に減弱された。[コントロール群(baseline;51.6±4.5mmHg):6.0±1.7mmHg,8.5±2.1mmHg,15.5±2.4mmHg,プレコンディショニング群(baseline;57.2±1.8mmHg):24.6±2.4mmHg,24.2±3.1mmHg,32.8±5.4mmHg,).リモートプレコンディショニングの脊髄保護効果の機序の可能性に脊髄組織酸素分圧の維持が関与する可能性が示唆された。
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