2006 Fiscal Year Annual Research Report
メチル化特異的PCRを用いた前立腺癌の新規バイオマーカーの探索と臨床応用
Project/Area Number |
18591760
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榎田 英樹 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (80347103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 賢龍 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (80264422)
久保 博幸 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (60336344)
中川 昌之 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90164144)
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Keywords | 前立腺癌 / 腫瘍マーカー / メチル化 |
Research Abstract |
(目的)前立腺特異的抗原(PSA)は検査法として感度は優れているが特異度が低く、多くの健常者が癌であることを否定するために、不快な生検検査を余儀なくされている。実際、前立腺針生検による前立腺癌検出率は20-30%に過ぎず、医療経済上の観点からも満足できない。また前立腺癌患者において癌の進行度(ステージ)は治療方針を決定するのにきわめて重要であるが、初診時PSA値、画像診断、触診および生検所見を用いたステージ予測と実際の手術病理所見との一致は50-60%に過ぎない。我々は前立腺癌でメチル化の頻度が高い複数の遺伝子のプロモーター領域のメチル化を測定し、スコア化することで前立腺癌の診断・病理予測マーカーを確立したいと考えている。 (方法)LNCap・PC3細胞を用いて、各々の培養液中に脱メチル化剤、5-aza-2'-dCを添加し5日間培養する。細胞を回収してTotal RNAを抽出し、脱メチル化剤で処理した癌細胞と未処理の癌細胞をcDNAマイクロアレイで解析することでメチル化により発現が低下している遺伝子の候補を模索する。候補遺伝子のメチル化特異的PCRを前立腺癌臨床検体パラフィン包埋切片より抽出したDNAを用いて行う。さらに、前立腺マッサージ後の尿から抽出したDNAを用いてリアルタイムPCRによる定量的メチル化特異的PCRを行い腫瘍マーカーとしての有効性を検討する。 (結果)cDNAマイクロアレイでは、LNCap・PC3細胞の双方で5-aza-2'-dC添加後に発現が1.5倍以上増加している遺伝子が18個検出された。前立腺マッサージ後の尿からは安定したDNAの抽出と重亜硫酸塩処理が可能となり、GSTP1遺伝子のメチル化を測定したところ、早期前立腺癌60,例中13例(感度21.7%)において陽性であった。一方、良性疾患である前立腺肥大症では30例中1例のみが陽性(特異度96.7%)であった。 (結論)前立腺マッサージ後尿中DNAを用いた前立腺癌診断は技術的に可能であると思われた。現在、感度の向上に向けて実験を継続中である。
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