2006 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲン受容体活性を利用した難治性前立腺癌に対する新規化学療法の開発
Project/Area Number |
18591774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80185371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (10167546)
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245572)
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10286552)
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Keywords | 前立腺癌 / ビタミンE / ヒストン修飾 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
平成18年度はアンドロゲン応答性前立腺細胞株LNCaPおよびそのアンドロゲン非依存株に対して、ビタミンE化合物であるvitamin E succinate (VES)を投与したところ、アンドロゲン受容体(AR)の発現量は変化しなかったのにも関わらず、活性の低下が見られた。このAR活性低下はアンドロゲンの依存性に関わらず認められた。さらにRbのリン酸化およびCylinD1の発現が抑えられ、CDC45、mcmタンパクファミリーの発現が低下し、細胞はGlarrestに陥った。アンドロゲン応答領域(ARE)を用いた免疫沈降の結果から、このARの活性低下は、ヒストンH3のLysine 9の脱メチル化の抑制によってコントロールされている可能性が示唆された。一方、G2 arrestを引き起こすパクリタキセルのような抗癌剤と併用することによりin vitroで抗腫瘍効果の増強が見られた。またヌードマウスに移植したLNCaPに対してビタミンEとパキリタキセルを併用したところ同濃度のパクリタキセル単独より効果の増強が見られた。一方ヒストン脱アセチル化酵素の阻害薬(HDACI)をLNCaPに使用したところ、著明なAR発現の抑制が見られ、G1 arrestを誘導し、増殖を抑制した。このことからHDACIは、AR遺伝子のヒストンを修飾し、発現そのものをコントロールし、前立腺癌細胞の増殖を抑制している可能性が示された。 平成19年度はVESがもたらすAR活性の変化の機序について、さらに詳細に検討し、それに関与するタンパクの同定にも力を注ぎたいと考えている。
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Research Products
(5 results)