2007 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子の制御機構を介した好酸球性副鼻腔炎に対するステロイドの有効性に関する解析
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18591868
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹野 幸夫 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50243556)
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Keywords | 好酸球 / 副鼻腔炎 / ステロイド製剤 / ステロイド受容体(GR) / 転写因子 NF-kB / Toll-like receptor(TLR) / trefoil factor family / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究は、好酸球性副鼻腔炎に対するステロイド製剤の有効性に関する基礎的・臨床的なエビデンスの構築を目的とした。すなわち、1)ヒト副鼻腔粘膜におけるステロイド受容体(GR)の発現と分布を分子生物学的に観察し、本製剤の抗炎症効果について解析を行なう。2)ステロイドとGR複合体による細胞内転写因子の制御機構を解析する。3)ステロイド製剤の噴霧療法の臨床効果を検討し、新しい治療法の開発をすすめる、などの点を目的として行った。 当該年度における研究成果としては、 1)副鼻腔炎粘膜の病理組織学的観察とGRの発現の解析:慢性副鼻腔炎の鼻茸・篩骨洞粘膜において、GRのsubtypeである活性型の・typeと不活型の・typeの発現部位とパターンに一定の傾向が認められた。それと同時に、好酸球浸潤の高度な症例ほど・typeの比率が高度で、かつ分布密度が篩骨洞優位(>上顎洞)の傾向が観察された。また臨床的なステロイドの使用により、好酸球関連サイトカイン、受容体発現の低下が観察された。さらに近年発見された炎症制御と機能修復に関与する蛋白としてのtrefoil factor family (TFF)にも着目し、鼻副鼻腔における各subtypeの発現と好酸球浸潤との関連性についても検討を行った。 2)GR複合体と転写因子活性化の制御機構の解析:ヒト培養副鼻腔上皮細胞を用いたin vitro下の検討で、培養細胞におけるGRの発現と複合体の核内移行を観察した。同時に細菌毒素成分であるLPS、PGN刺激に対する培養上皮細胞の応答が、細胞表面におけるTLR4とTLR2発現を介した転写因子NF-・Bの活性化を伴っていることを確認し、ステロイドによる抑制効果をTrans AM assayと免疫組織学的解析にて評価した。 3)臨床的応用の試み:好酸球性副鼻腔炎に対して、HPC含有プロピオン酸ベクロメタゾンを開放した副鼻腔各洞に噴霧する療法を行い、病変の再増悪が予防可能かどうか評価を試みた。その結果は内視鏡所見、CTスコアともに従来の成績に比較して良好なものであり、新治療法のエビデンスの確立が達成された。
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Research Products
(7 results)