2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼ1による生体保護作用:バイオマーカーとしての呼気一酸化炭素
Project/Area Number |
18591991
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
野口 宏 Aichi Medical University, 医学部, 教授 (20065569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武山 直志 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00155053)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼI / 一酸化炭素 / 急性肺障害 / 酸化ストレス / マクロファージ |
Research Abstract |
集中治療室入室患者の、血中一酸化炭素(CO)濃度(ガスクロマトグラフィー)、単球中ヘムオキシゲナーゼI活性(フローサイトメトリー)、血液中酸化ストレス度(分光光度計)、炎症性サイトカイン(ELISA)等を測定することにより、侵襲による酸化ストレス、ヘムオキシゲナーゼI活性、CO濃度の相関を検討している。現在のところ、ヘムオキシゲナーゼI活性と血中CO濃度間に正の相関が認められている。COはNOとともにグアニールサイクラーゼ活性化による血管拡張作用を有するが、それ以外に抗炎症作用も有する。内因性COの起源は、その代謝経路からヘムオキシゲナーゼ系由来と推察されていたが確証はなかった。今回の結果は、内因性のCOとヘムオキシゲナーゼ経路との関連性を強く推察するものである。次にヘムオキシゲナーゼ1活性を調節する要因として酸化ストレスをはじめとした生体侵襲が重要視されている。今回、APACHE IIによる重症度スコアー、酸化ストレス度、およびヘムオキシゲナーゼI活性間に正の相関が認められた。この結果は、強い侵襲が生体に加わり酸化ストレス度が増加した状態下で、抗炎症作用を有するヘムオキシゲナーゼ1蛋白質が増加している可能性を強く示唆する。ヘムオキシゲナーゼI活性の上昇しない敗血症患者は予後が悪いことも今回の検討から明らかになっており、ヘムオキシゲナーゼI-CO系は生体防御系として働いている可能性が示唆された。
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