2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔連鎖球菌ストレプトコッカス・インターメディウスのヒト特異的感染現象の分子機構
Project/Area Number |
18592004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長宗 秀明 徳島大学, 大学院ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40189163)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 口腔連鎖球菌 / 毒素 / インターメディリシン |
Research Abstract |
本年度は先ず、感染標的細胞としてヒト型CD59(huCD59)を発現するラット肝細胞株BRL3A/h59(ILY感受性),その親株のBRL3A(ILY非感受性)及びヒト肝細胞株HepG2(ILY感受性)を用いてS.intermedius(SI)の感染性を解析した。その結果、huCD59を細胞表面に発現するHepG2及びBRL3A/h59でのみSI感染現象が見られ、しかもヒトの脳や肝臓の膿瘍に由来するILY高産生株の場合でのみ顕著なSIの感染現象が見られたことから、SIのヒト特異的細胞感染現象はILY産生量とhuCD59の発現に依存的した細胞感染現象であることを確認した。 次にHepG2へのSI感染初期における菌体-宿主細胞間の相互作用を透過型電子顕微鏡で観察したところ、HepG2細胞表面の絨毛構造とSIの顕著な結合が認められ、それを足がかりにSIが細胞内に侵入することが考えられた。現在、この侵入・取り込み過程が細胞内のどのような細胞膜・骨格系蛋白質の寄与によって進行するのか、特異抗体を用いて電子顕微鏡や共焦点蛍光顕微鏡を用いた解析を進行中である。また、SIの細胞内への感染過程に関与する各種の細胞内シグナル伝達システムの解析を行うため、ERK/MAPK系、p38系、PI3K系、PKC系などの様々なシグナル伝達経路の特異的阻害剤を処理したHepG2細胞においてSIの感染性を調べた結果、ホスホリパーゼA2阻害剤のキナクリンで処理した細胞においてはSI感染で誘導される細胞死が顕著に抑制された。 これらの結果から、SIが示すILY/huCD59依存性のヒト特異的な細胞感染現象にはホスホリパーゼA2を含むシグナル伝達経路が関与していることが示唆された。今後、さらに詳細にこの感染現象に関与する蛋白質の解析を進め、SIのヒト特異的感染現象の分子機構の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)