2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔レンサ球菌によるバイオフィルム形成と感染性心内膜炎発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
18592014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 幸裕 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教授 (00281436)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 生態学 / 糖鎖 / 歯学 / シアル酸 / バイオフィルム / 感染性心内膜炎 |
Research Abstract |
Streptococcus gordoniiは、口腔バイオフィルム形成や、齪蝕、歯肉炎の発症に関与し、感染性心内膜炎の原因菌でもある。この細菌の口腔内への定着や感染性心内膜炎の発症には、シアル酸結合性アドヘジン(Hsa)が重要な役割を演じていると考えられている。この研究は、このシアル酸結合性アドヘジンのバイオフィルム形成および感染性心内膜炎における役割を更に明らかにすることを目的として計画された。以前の研究で我々はS.gordonii DL1株のHsa蛋白をコードするhsa遺伝子をクローン化した。その塩基配列より、Hsaは2,178アミノ酸残基からなる糖蛋白で、N末端側の非繰り返し領域(NR2)とC末端側の細胞壁結合領域がHsa全長の75%を占めるserine rich領域により繋がれている構造をしていることを示した[Takahashi,Y.et al.(2002)Infect. Immun.70(3):1209-1218]。また、このことより、宿主レセプターが結合するbinding siteはNR2領域であることが推察された。[Takahashi,Y.et al.(2004)Infect. Immun.3876-3882]。平成18年度の研究では、S.gordoniiの臨床分離株間でのシアル酸結合性と、hsa遺伝子の多様性との関連性を比較検討した。その結果、株間でシアル酸結合性に違いがあること、NR2領域のアミノ酸配列に多様性があることが明らかになった。さらに、これらアミノ酸配列の違いより、シアル酸との結合に重要と思われるアミノ酸残基を推定した。それらを別のアミノ酸に置換したリコンビナントNR2のコンストラクションを構築し大腸菌の系で発現させる実験系が確立されつつある。平成19年以降の研究では、このリコンビナントNR2のシアル酸結合活性について、さらなる解析を行う予定である。
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