2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔レンサ球菌によるバイオフルム形成と感染性心内膜炎発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
18592014
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 幸裕 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 准教授 (00281436)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 生態学 / 糖鎖 / 歯学 / シアル酸 / バイオフィルム / 感染性心内膜炎 |
Research Abstract |
Streptococcus gordoniiは、口腔バイオフィルム形成や、齲蝕、歯肉炎の発症に関与し、感染性心内膜炎の原因菌でもある。この細菌の口腔内への定着や感染性心内膜炎の発症には、シアル酸結合性アドヘジン(Hsa)が重要な役割を演じていると考えられている。平成18年度の研究では、S. gordoniiの臨床分離株間でのシアル酸結合性の違いと、hsa遺伝子の多様性との関連性を比較検討した。平成19年度は、(1)hsa遺伝子の部分的改変によるHsaのbinding siteの同定を試みた。また、(2)白血球のCD43などのシアル酸含有膜蛋白がHsaのレセプターである可能性の検証を行った。その結果、(1)以前の研究結果よりbinding siteがあると推測されていたHsaのN末端側の非繰り返し領域の特定のアミノ酸残基を置換したHsaを産生するS. gordoniiの変異株を作製し、シアル酸結合性を野生型と比較したが、現時点ではbinding siteの特定に至る結果は得られていない。(2)白血球のCD43の他、数種類のシアル酸含有膜蛋白がHsaのレセプターであることが明らかとなった。さらに、赤血球膜のシアロ糖蛋白であるグリコフォリンAとバンド3がHsaのレセプターであることが明らかとなった。また、(3)Hsaとは別に、ペプチドグリカン合成に関わるphosphoglucosamine mutaseが、バイオフィルム形成に関与することが明らかとなった。来年度は、引き続き(1)Hsaのbinding siteの同定、(2)Hsa蛋白とレセプターとの結合で、実際にシグナル伝達とそれに関連する宿主細胞の応答が起こるかどうかの解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)