2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔レンサ球菌によるバイオフィルム形成と感染性心内膜炎発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
18592014
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 幸裕 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 准教授 (00281436)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 生態学 / 糖鎖 / 歯学 / シアル酸 / バイオフィルム / 感染性心内膜炎 |
Research Abstract |
Streptococcus gordoniiは、口腔バイオフィルム形成や、齲蝕、歯肉炎の発症に関与し、感染性心内膜炎の原因菌でもある。この細菌の口腔内への定着や感染性心内膜炎の発症には、シアル酸結合性アドヘジン(Hsa)が重要な役割を演じていると考えられている。平成18年度および平成19年度の研究では、S.gordoniiの臨床分離株間でのシアル酸結合性の違いと、hsa遺伝子の多様性との関連性を比較検討し、また、白血球のCD43の他、数種類のシアル酸含有膜蛋白、および赤血球膜のシアロ糖蛋白であるグリコフォリンAとバンド3がHsaのレセプターであることを明らかにした。平成20年度は、当初Hsaのbinding siteの同定、Hsa蛋白とレセプターとの結合による宿主細胞応答の解析を行う予定であったが、細菌細胞の細胞壁を構成するペプチドグリカンの生合成の一過程を担うphosphoglucosamine mutase (GlmM)が、S.gordoniiの発育や形態形成およびバイオフィルム形成に重要な役割を果たしていることを新たに発見したため、GlmMの宿主細胞応答への影響について検討を行った。S.gordoniiは、多形核白血球の貧食による殺菌に抵抗性を示すことが知られているが、glmM変異株では殺菌される割合が高くなることが示された。またglmM変異株では、ペクチドグリカンを消化するリゾチームに対して、野生型に比べてより感受性であることが示され、多形核白血球の貧食によるS.gordoniiの殺菌に対する抵抗性にGlmMが関与していることが明らかとなった。今後は、HsaとGlmMの病原性について更なる解析をおこなう予定である。
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[Presentation] streptococcus gordoniiにおけるphosphoglucosamine mutaseと菌体形態, バイオフィルム形成および抗菌薬感受性との関連性2008
Author(s)
島津貴咲, 高橋幸裕, 苅部洋行, 内川喜盛, 島津徳人, 矢島彩子, 高島英造, 青葉孝昭, 古西清司
Organizer
第50回歯科基礎医学会学術大会
Place of Presentation
TOC有明コンベンションホール, 東京
Year and Date
2008-09-24
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