2008 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質・歯髄複合体の修復再生機構-歯髄組織幹細胞の同定と細胞動態の解析-
Project/Area Number |
18592085
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉羽 邦彦 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (30220718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉羽 永子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10323974)
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Keywords | 象牙質・歯髄複合体 / 象牙芽細胞 / 歯髄組織幹細胞 / 直接覆髄 / レーザー / BrdU / nestin / osteopontin |
Research Abstract |
象牙質・歯髄複合体の修復再生過程における歯髄組織幹細胞/前駆細胞の動態と象牙芽細胞の分化機構の解明を目的として,ラット臼歯における直接覆髄後ならびにレーザー照射後の歯髄反応および修復象牙質形成過程を免疫組織化学的に観察した。 1.水酸化カルシウム直接覆髄後の歯髄反応 Osteopontin(OPN)陽性反応が1日後から歯髄変性層直下に認められ,3日例ではnestin陽性細胞の配列が観察された。5日例では覆髄部直下にOPN陽性の線維性基質が,14日後では細管構造を示す象牙質様基質が認められた。OPNが歯髄修復過程における象牙芽細胞様細胞の分化誘導に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 2.半導体レーザー照射後の歯髄反応 出力1.5W, 60秒×3回照射直後,象牙芽細胞を含む歯髄細胞の壊死が照射部を中心に観察され,象牙芽細胞におけるheat-shock protein 25(Hsp-25)およびnestin陽性反応の消失が認められた。1日後から壊死層周囲にHsp-25強陽性反応が認められ,2〜3日後になると細胞増殖を示すBrdU陽性細胞が多数観察され、修復機転の開始が示唆された。また本法が歯髄修復再生過程の観察のための,有用なツールとなることが示された。 3.Er:YAGレーザー照射後の歯髄反応 窩洞形成直後および6時間後,窩洞直下での象牙芽細胞の配列の乱れが,また12-24時間後にはHsp-25およびnestin陽性反応の消失がみられた。その後,2日目以降でHsp-25およびnestin陽性反応が同部の象牙芽細胞様細胞に観察されるようになった。BrdU陽性細胞は,2日および3日後に歯髄中に多数検出された。Er:YAGレーザーによる窩洞形成後の歯髄損傷は軽度であるものの,前駆細胞の増殖分化過程を経て,象牙芽細胞様細胞の配列が生じることが示唆された。
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