2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18592401
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
松原 みゆき The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing, 看護学部, 准教授 (70330701)
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Keywords | ゲーム理論 / 終末期看護 / 意志決定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、終末期がん患者・家族・看護師、三者の主体的意思決定場面にゲーム理論を適用し、三者の複雑な場面の定式化を試みることである。最終年度は「看護師の利他性を前提にした、三者が最も望ましい関係構築への提言」を目的とした。 研究実施計画に照らし、終末期看護を実践している緩和ケア病棟の看護師を対象に、半構成的面接を実施した。具体的には、患者・家族・看護師間の主体的意思決定場面について問い、場面を抽出した。その後、社会学者のSimmelのいう「三人集団では、2人対1人の関係がみられる」こと、そこにゲーム理論を適用・分析し、三者が最も望ましい関係を構築するように「利他性」の概念を看護師に応用して定式化が可能であることを示唆した。つまり、看護師が自分の選択肢から合理的判断に基づいてある判断を示し、患者と看護師がそのアドバイスに従って各自が意思決定行うことである。 遺族や終末期に関わる看護師、緩和ケア病棟の看護師への調査から、患者と家族の二者関係に看護師がアドバイスすることにより、よりよい状況を作り出していることを示し、定式化を試みた。 今後の課題として、まず患者と看護師間の二者関係ではゲーム理論の「両性の戦いbattle of sex」ゲーム型での定式化が可能であることがわかったが、同時に「囚人のジレンマprisoner's dilemma」ゲーム型で説明できる場面もあった。これは自分の利得を考えるのではなく、相手を思いやるという日本の文化を反映したものかもしれない。そして人間の営みを定式化することの難しさも挙がった。
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Research Products
(3 results)