2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児・児童・生徒のふれあい・介護体験が認知症高齢者に与える影響に関する行動研究
Project/Area Number |
18592419
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今川 真治 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00211756)
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Keywords | 認知症高齢者 / 行動分析 / 幼児 / 児童・生徒 / ふれあい |
Research Abstract |
本研究は,幼児や児童・生徒および大学生等を,介護等体験やふれあい体験等で受け入れているグループホームや高齢者福祉施設において,これらの若年者との交流が,高齢者にどのような影響を与えうるのかを検証することを目的とした。しかし,一昨年来の基礎的調査によって,本研究に関連するような先行研究や文献はほとんど存在しないことが明らかとなっており,当該分野におけるデータの集積が急務であるが,下記のような理由で,その実施には大きな困難が伴うと考えられる。 まず,多くの高齢者施設において,入所者の安全やプライバシーの保護上の問題などによって,児童や生徒の体験学習の受入を躊躇していることが挙げられる。また施設側からは,高齢者にとって,若年者との交流が,本当に良い効果を及ぼすものであるか否かについての懸念も聞かれる。さらには,高齢者施設が種々の理由によって市街地等から隔絶されたアクセスの困難な地域に偏在していることもある。先に報告したように,幼稚園などにおいては,高齢者とのふれあいを実践している園があり,園児と高齢者の双方に良い効果を与えていると認知される傾向がある。しかし,小・中学校や高等学校においては,主として家庭科や総合的な学習の時間等の分野において,高齢者とのふれあいを通じての高齢社会に対する理解の必要性を教示している一方で,実習時限確保の困難さや実習先施設との関係形成の困難さなどにより,その実施そのものができていない状況にあることが明らかとなった。 最終的には本研究が目指したように,園児や児童,生徒,学生などの若年者との交流が,高齢者の意識や行動を肯定的な方向に変化させ得ることを実証することによって,実習を希望する園や学校の幼児や生徒・学生が高齢者とのふれあいを体験でき,同時に若年者との交流を希望する高齢者施設の入所者の生活満足度の向上に貢献できるものと期待する。
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