Research Abstract |
総合的学習は実際の科学,技術的知識がそうであるように,教科の枠にとらわれず,総合的にテーマを学習する良い機会を提供している一方で,実践の中で「体験のしっぱなし」,「ふりかえり」の不十分さがしばしば批判されてきた。これらの批判に応え,反省性,継続性,さらに教科学習への埋め戻しをできるようにするためには,単にテキストや教材,カリキュラム計画などを作成するだけでなく,それを超えて,効果的な実践を行い,さらにそれが継続的な効果を持つような社会-技術的なネットワークを構築することを可能にするようなモデルを提供する必要がある。 本研究では,このような問題意識から,多くの学校で採用可能で,かつ継続的な実践が可能な学習環境のデザインを目指した。そのために地震防災というテーマをとりあげ,小中学生らが地域のフィールド・ワークをすることに伴って,地域の様々なグループ,コミュニティを結びつけるネットワークを生成・構築することで,継続性ある学習環境をデザインした。またそのようなネットワークを支えるコミュニケーション・ツールとしてNOTAというウェブシステムを導入した。本年は昨年の成果を踏まえ,新たに小中学校各1校でカリキュラムを実施した。総合的学習を支える社会-技術的ネットワークの構築プロセスの分析と児童・生徒の学習のデータによって,ネットワーク構築についても,それに伴う小中学生の学びという点でも有意義な知見を得ることができた。また,インターネットやNOTAの利用過程の分析からは情報教育についての新たな知見を得ることもできた。
|