2008 Fiscal Year Annual Research Report
短期大学における保育者育成モデルとサーモグラフィによる教育効果検討の可能性
Project/Area Number |
18611010
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Research Institution | Seiwa Junior College |
Principal Investigator |
齊木 久代 Seiwa Junior College, 教授 (50212238)
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Keywords | 保育者 / 教育効果 / 実習 / 成績評価 / 自己点検・評価 / 保育内容 / 知識 / 原理 |
Research Abstract |
在学中の保育者としての成長過程を測定するための試みとして、2007年度入学者を対象として、「保育士のための自己評価チェックリスト」冊子(200項目)を用いて、1年次2007年4月、10月、2008年1月、2年次2008年4月、7月、2009年1月の計6回、6段階法による自己評価を求めた。本実習を終えた後の2年生7月における評価得点を用いて、保育の方法・内容に関連する分類ごとに尺度化を試みた。この結果、保育内容5領域(健康、人間関係、環境、言葉、表現、言葉)については各1尺度、養護、乳児保育、障害児保育については各2尺度、長時間保育、子どもの人権各1尺度の計13尺度が得られた。全尺度得点で有意な継時的増加が認められ、自己評価が在学中に上昇していることが確認された。しかし一方で、関連する授業を受講することや実際に施設、保育所、幼稚園での実習を体験することによって、自己評価が高まるだけではなく、これらの経験が今までの自分自身の理解を省みる契機となり、一時的に自己評価が低下する場合もある可能性が示唆された。また、教科の成績と自己評価(保育内容5尺度の平均)との関連を検討するため、各教科(在学生9割以上受講科目)の成績に対して因子分析を行い、「知識の習得」と「原理の理解」に関連する2因子を得た。両因子間には有意な正の相関が見られた。入学直後の1年生4月の時点では「知識の習得」得点の高い者の方が、低・中得点者より自己評価が低いが、その後、有意な差はなくなる。一方、「原理の理解」得点の低い者は、実習体験後に自己評価が上昇し、卒業前には、中・高得点者に比べて自己評価が有意に高くなった。すなわち、自己評価の高さが成績のよさと直接的に関連しているとは言い難いようである。以上の本調査結果は、学生自身の自己評価を保育者としての成長の直接的測度として用いることの難しさ、危険性を示唆するものと考える。
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Research Products
(6 results)