2006 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛コントロールのトップダウン機構とその脆弱性に関する研究
Project/Area Number |
18613007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
喜多村 祐里 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90294074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | 痛み(ペイン) / 脳機能イメージング / NIRS / PET / 分子イメージング / 抗うつ薬 / スルピリド(sulpiride) / 認知機能 |
Research Abstract |
「痛み」の尺度はあくまでも主観的であり,自記式スケールの評価点や訴えの強さなどを一概に客観的評価の指標とするわけには行かない。一方、同じ強さの侵害刺激であっても「痛み」の感じ方がヒトによって、または時と場合によって変わるということも想像に難くない。それでは、何故このように「痛み」の感覚は相対的な変動をともなうか。これは、ヒトの感覚認知のしくみが幾重もの階層構造をなしており、単なる入力情報の統合的処理にとどまらず、行動や情動反応、ひいては(ホルモンや自律神経系を介する)生体反応といった種々の出力制御と密接な繋がりがあることに深く関与する。 そこで、本研究では、「痛み」感覚もしくは疼痛制御の最上位とも考えられる頭頂連合野および前頭前野の脳活動を、近年の脳機能イメージング技術を用いて実時間計測し、痛みに伴う脳内情報処理のしくみを明らかにする。そしで慢性疼痛治療における実践的診断・治療法の開発を射程に入れた、疼痛制御のトップダウン機構の解明を行う。 平成18年度内には、対象症例の検討多チャンネルNIRS(近赤外線分光法)計測による健常者基礎データの収集と解析と、そしてPET(ポジトロン放出画像法)を用いた分子イメージングによる薬物動態および認知機能に対する薬効評価を行った。既に公表したPETによる結果および現在投稿中の学術論文では、慢性疼痛の治療薬としてしばしば用いられるSSRIやスルピリドの受容体占拠率とそれらが認知機能に及ぼす影響について興味深い新たな知見を得た。 また、「疼痛医療センター」の開設(平成18年5月)は、各関連分野間における連携や融合的アプローチの実現を可能にし、慢性疼痛患者の横断的評価や病態理解のプロセスにおいて有効かつ先駆的な取り組みであり、本研究の遂行上も追い風であることに疑いはないと思われる。
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Research Products
(11 results)