2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄シナプスレベルにおけるヒスタミンの鎮痛発現機序
Project/Area Number |
18613025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
赤池 紀生 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (30040182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正代 清光 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助手 (90290650)
野中 喜久 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助手 (70259745)
前田 惠 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助手 (10369126)
小川 幸恵 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助手 (40380563)
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Keywords | 痛み / 脊髄ニューロン / GABA応答 / グリシン応答 / ヒスタミン / 修飾作用 / シナプス |
Research Abstract |
生後2〜3週齢のマウスおよびラットの脊髄背側交連核(SDCN)ニューロン領域を含む脊髄のスライス標本を作用し以下の実験に供した。 1.シナプス・ブートン標本を用いた研究 シナプス前神経終末やシナプス後膜側ニューロンへのヒスタミン(HA)の作用機序をより性格に解明するために、脊髄スライス標本のSDCN領域より機械的処理のみでSDCNニューロンを単離した。本単離SDCNニューロンには生理的機能を良好に維持したグルタミン酸(Glu),グリシン(Gly)やγ-アミノ酪酸(GABA)作動性神経終末部が多数付着しており、自発性のmEPSCやmIPSCを、またそれらの神経終末部の一つに選択的に電気刺激を与えるフォーカル刺激によって、単一シナプスレベルで誘発されるeEPSCやeIPSCを記録できる。今回はGlyおよびGABAで惹起されるmIPSCとeIPSCへのHAの修飾作用をみた。その結果HAはGlyやGABAの自発的遊離で惹起されるmIPSCの頻度には全く影響を与えず、軽度にmIPSC電流の振幅を増加した。本結果は酵素処理で単離した神経終末部が付着していないニューロンへのGly投与で発生するスナプス下膜での応答がHAで増加されるのと同じであった。 2.シナプス・ブートン標本を用いた研究 機械的処理のみで神経終末部が付着する単一にニューロン(シナプス・ブートン標本)を用いて、GlyやGABA作働性の単一神経終末部のフォーカル刺激で発生するeIPSCの発生頻度、電流振幅の大きさはHで全く影響されなかった。 以上の1と2の結果より、HAはGlyやGABA作働性のシナプス前神経終末部には作用せず、シナプス下膜レベルにおいてのみGlyやGABA応答を促進的に修飾するものと結論できた。 なお、HAのH_1,H_2受容体の選択的アゴニストやアンタゴニストが如何なる細胞内機序でシナプス下膜のHA応用を修飾するのかをHAノックアウトマウスを用いて現在検討中である。
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Research Products
(2 results)