2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄シナプスレベルにおけるヒスタミンの鎮痛発現機序
Project/Area Number |
18613025
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
赤池 紀生 Kumamoto Health Science University, 保健科学部, 教授 (30040182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正代 清光 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (90290650)
野中 喜久 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (70259745)
前田 恵 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助教 (10369126)
小川 幸恵 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助教 (40380563)
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Keywords | ヒスタミン / 鎮痛作用 / 脊髄 / ニューロン / 神経終末 |
Research Abstract |
ラット脊髄の背側交連核(SDCN)ニューロン群は腎臓、大腸、子宮、膀胱からの痛覚情報の求心性上行路に位置し、痛覚を上位中枢へ中継する。本ニューロンには脊髄後角第2層に存在する求心性の感覚中継ニューロンと同様に、知覚神経からの興奮性グルタミン酸作働性入力を受ける。また近傍の介在ニューロン群を介してグルタミン酸作働性の興奮性入力やGABAやグリシンの抑制性入力を受取る。本年度はこのSDCNニューロンに投射するグリシン作働性神経終末部からのグリシンの自発性ならびに活動電位依存性遊離に対してヒスタミン(HA)受容体のサブタイプH_1, H_2とH_3がいかなる修飾作用を有するかを明らかにするために、これら3種のHA受容体サブタイプの選択的アゴニストを用いて実験を行った。 〈結果〉 1. 自発性のグリシンの抑制性シナプス後電流(sIPSC)は代謝型H_1とH_2受容体の選択的刺激によって、その頻度が増加した。すなわちグリシン神経終末部にこれら両受容体があってグリシンの遊離を増加させる。 2. H_3受容体の選択的活性化によってもグリシンの遊離頻度は増加した。 〈結論〉 以上のことから、HAは脊髄レベルでの上行性痛覚の伝導を抑制する働きがある。すなわちセロトニン(5-HT)やノルアドレナリン(NA)と同様に、HAは生体において鎮痛作用を促進する物質の一つといえる。
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Research Products
(3 results)