2007 Fiscal Year Annual Research Report
計算再利用と投機実行のためのプログラム変換方式の研究
Project/Area Number |
18650005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 浩 Kyoto University, 学術情報メディアセンター, 教授 (10243057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津邑 公暁 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (00335233)
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Keywords | ソフトウェア学 / 計算再利用 / 投機実行 / プログラム変換 |
Research Abstract |
前年度に行った再利用適用性解析と性能推定に関する研究成果に基づき、効率的な再利用方式と投機実行の制御方式について設計を行い、以下の成果を得た。 (a)効率的な部分計算結果の保存・検索:プログラム解析によって再利用の適用が可能かつ効果的と判断された部分計算に対して、常にその結果を保存すると膨大な保存・検索コストを要することがしばしばある。そこで、保存された結果が実際に再利用されたか否かの情報に基づき、再利用率が低い場合は部分計算結果の保存を中断して再利用オーバヘッドを除去する方式を設計した。また、定期的に保存・検索を再開することで、プログラムの進行に伴う再利用可能性の変化にも対応できるようにした。さらにこのアイデアを、再利用型プロセッサの省電力化にも適用して、エネルギー効率的にも優れた再利用機構が得られることを明らかにした。 (b)再利用と並列処理の併用:マルチコアプロセッサで再利用を行う場合、将来的に必要となる可能性のある部分計算を投機的に並列実行しておく方法と、プログラム自体の並列処理を行う方法とが考えられる。前者は逐次性の強いプログラムに対する並列処理方式として有効であるが、並列性の高いプログラムでは後者が勝ることもしばしばある。そこで、再利用と通常の並列処理を組み合わせる方式の有効性について、遺伝的アルゴリズムに基づくプログラムを対象に検証した結果、後者により前者の2倍程度の性能が得られることが明らかになった。 (c)投機実行の制御方式:投機実行が有効なプログラムを対象として、その制御機構の設計に要するコスト等を解析した。その結果、問題に依存した本質的な処理である投機計算や成功・失敗判定の論理よりも、むしろそれらを効率的に並列実行するための制御が煩雑であり、この部分のライブラリ化が有効であることが明らかになった。
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