2006 Fiscal Year Annual Research Report
冬眠期のエゾタヌキ生理機能テレメトリーと動物園における生命科学教育の可能性
Project/Area Number |
18650226
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
橋本 眞明 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30156294)
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Keywords | 冬眠 / 生理機能 / 生命科学教育 / 動物園 / エゾタヌキ / ハムスター |
Research Abstract |
旭川市旭山動物園との協力により、冬季に白然環境を模した人工巣穴を準備し、テレメトリーにより生理学パラメーター(体温、心電図)を連続測定し、1)冬季の巣篭り行動が見られるか、2)その間のパラメーターが通常の睡眠時に見られる変化を上回る変化を示すか調べ、3)エゾタヌキの冬眠可能性について検討。さらに、4)実験室において進行中のハムスターを用いた冬眠研究の成果を含め、記録中の心電図や体温、行動映像をモニター上で展示する等により、来園者に冬眠研究を通じて生体の内部機構に関する興味を喚起し、動物園が生命科学教育の場として利用できるか検討する目的で行われた。 園内の比較的静寂な場所、内部が外気に暴露される飼育ケージ内に人工巣穴を設置。晩秋降雪前にテレメトリー送信機を腹腔に留置し、手術からの回復後、飽食するまでエサを与えた。積雪開始後、ケージ内巣穴周囲を雪で被い、2週間かけて段階的にエサを減らし、約2ヶ月間絶食状態とした。 ・行動記録から、エゾタヌキは2日以上に渡り巣穴内に留まる事は無かった。 ・覚醒安静時体温は約37℃であるが、最低体温は絶食開始から約1ヶ月後に記録された35.4℃であった。 ・心電図は強い不整脈を示し、他の冬眠動物の冬眠中と似ていたが、心拍数は通常安静時約70から15%程度の減少に留まった。 今回の記録結果からは、エゾタヌキの冬籠りを示唆する記録は得られなかった。これらの結果をまとめ、公表した(日本生気象学会雑誌,2006) ・園内における記録、計測中の資料を含む生命科学啓蒙用の展示準備が進められている。
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Research Products
(6 results)