2006 Fiscal Year Annual Research Report
実験映像宗教学の試みー作品制作と鑑賞の相互作用に見る現代的宗教性の探究ー
Project/Area Number |
18652008
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
樫尾 直樹 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (50233698)
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Keywords | 映像 / 宗教 / 鑑賞 / スピリチュアリティ / 宗教性 |
Research Abstract |
「スピリチュアリティ」をテーマとした映像を制作し、その視聴者による鑑賞と視聴者と制作者との対話を観察することによって、現代的宗教性の有り様を観察し分析しようとする三年計画の本研究の初年度は、作品のモチーフとなる映像資料の撮影、収集を行うとともに、映像作家による映像制作をプロデュースし、さしあたり二本の「スピリチュアリティ」をテーマとした作品を獲得した。映像作家が独自に「スピリチュアリティ」を解釈し映像化された作品は、表象文化や記憶の想起などを取り扱い、その中に見えないつながりの感覚とその在り処を表現していると報告者は解釈している。制作に若干時間を要したため、現在、インターネットのウェブサイト上への作品の実装を行っているところであり、その実装の完了後、一般公開し、視聴者と制作者との対話のテキストデータを収集し、解釈、分析する予定である。現時点における報告者の仮説的見解としては、1 スピリチュアルブームにおけるスピリチュアリズム的なスピリチュアリティ観念の影響があるのではないか、2 その一方で、オカルト的解釈とは異なり、物の背後に魂や心を想定するアニミズム的なスピリチュアリティ観念があるのではないか、3 不可視なつながりに対する倫理的態度としてのスピリチュアリティ観念があるのではないか、の三点がある。いずれにしても次年度における映像制作の文法と技術に習熟していない制作者による映像制作とその鑑賞と対話の分析とともに、これからの課題として残されている。
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