2007 Fiscal Year Annual Research Report
建国神話と考古資料から見る黎明期の古代マケドニア王国に関する研究
Project/Area Number |
18652071
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
澤田 典子 Shizuoka University, 人文学部, 准教授 (50311650)
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Keywords | マケドニア / ギリシア / 建国神話 / 考古資料 / ヘロドトス / フィリポスコ世 |
Research Abstract |
今年度は,黎明期(前7世紀半ば〜前5世紀)の古代マケドニア王国史を,断片的な文献史料と近年の考古資料との整合性の検証を軸として解明するという研究目的のため,前年度に引き続き,本研究の第一の材料となる神話的な建国伝承について検討を進めるという課題に取り組んだ。前年度に行なった,ヘロドトスをはじめとする前5世紀以降のギリシア・ローマの史料に現れるマケドニア王国の建国神話に関しての歴史学的および文献学的な先行研究の整理・検討を踏まえて,建国神話の形成・展開過程を跡づけていくとともに,建国神話からどのような史実を読み取ることができるのかについて考察した。また,本研究の第二の材料となるマケドニア王国の遺跡の考古資料の整理・検討を進めながら,建国神話から拾い出せる史実を考古資料とっきあわせてその整合性を検証する作業も行なった。これらの研究成果は,「古代マケドニア王国の建国伝説をめぐって」および「マケドニア王家とオリュンピア祭」の2本の論文にまとめ,マケドニア王家による建国神話の喧伝に見られる,神話が形成された時代からフィリポス2世の時代への「連続性」について論じた。今後は,建国神話と考古資料の整合性を検証しながら,神話の史実性についてさらに考察を深めること,そして,これまでの考察から浮かび上がる初期のマケドニア王国の「独自性」の解明に取り組み,立体的な初期マケドニア王国像の構築を試みることが課題となる。
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Research Products
(3 results)