2006 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術法学における責任法領域の構築に向けた日欧米の比較法研究
Project/Area Number |
18653009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 誠 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00186959)
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Keywords | 科学技術法 / 科学技術責任法 / アカウンタビリティー / 科学技術倫理 / 行政組織法 |
Research Abstract |
1 本研究における今年度実績の位置づけ 科学技術に関する法的諸問題を発見・解決するための、科学技術法体系の重要領域としての責任法につき、体系構築のモデル論を提示することを最終目的とする本研究において、平成18年度は研究初年度として、主として文献調査、副次的にヒアリングを行うという手法で、下記の研究を行った。 なお、下記研究実績のうち、責任法におけるアカウンタビリティーの位置づけに関する部分は、平成19年に繰り越しての研究実施が承認されたもので、平成19年に実施したものである。 2 民事・行政・刑事責任の理論と対比しての科学技術責任法の特性の探求 民事・行政・刑事責任の理論枠組みから、科学技術責任法のあるべき構成要素について示唆を得るべく、日独の文献を中心に精査し、とりわけ、ドイツにおける原子力施設関係行政訴訟、及び同国の脱原発政策における議論から、専門鑑定のあり方を含め、事前の組織的・手続的メカニズムが、事後の責任法及び、広義の責任法の体系において重要な位置を占めることを明らかにした。 3 科学技術倫理論、科学技術社会論と科学技術責任法の関係についての考察 科学技術倫理論・同社会論と科学技術責任法の役割分担、相互関係が、どのようにあるべきか、という視点で、ドイツにおける近代技術と社会との関係に関する文献を中心に精読し、技術基準の形成における諸特性が、責任法の議論にも反映すべきことを明らかにした。 4 アカウンタビリティーと科学技術責任法の関係の考究 20世紀末から、新たな責任概念として様々な分野で用いられるにいたったアカウンタビリティー概念が、科学技術責任法においても、一定の役割を果たすかどうかを検証すべく、日本及びドイツで文献調査を行い、ドイツ・フライブルク大学の公法スタッフに、グローバル化と同論点のかかわりにつき、ヒアリングを行った。その結果、各種計画における事前手続でのアカウンタビリティー確保を広義の責任法の構成要素として位置づける方向性を得ることができた。
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Research Products
(1 results)