2006 Fiscal Year Annual Research Report
新聞メディアの重みづけ報道と社会的リアリティ(世論)の誘導の研究
Project/Area Number |
18653047
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
竹内 洋 関西大学, 文学部, 教授 (70067677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 洋二 関西大学, 社会学部, 教授 (30098107)
雨宮 俊彦 関西大学, 社会学部, 教授 (30151129)
吉岡 至 関西大学, 社会学部, 教授 (20248793)
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Keywords | 新聞報道 / 信頼 / 世論 / ネットワーク / リアリティ / 荷重 / 見出し / ソシオン |
Research Abstract |
社会的コミュニケーションにおける「情報」は、「メッセージ内容」と「荷重」の2つの要素からなる。荷重(semio-weight)とは、予期のポテンシャル量(強度)であり、伝達されるメッセージに付随する正-負/信-不信の重みづけである。荷重は社会的リアリティのネットワーク的構成を理論的にモデル化するうえで鍵となる概念である。 本研究は、戦後日本の「世論」形成において、新聞メディアが歴史的出来事についてどのように重みづけて報道を展開したか、そのネットワーク・ダイナミックスについて多重媒介コミュニケーションモデルと荷重報道分析の手法を用いて理論的・実証的に探究することを目的とする。 本年度は、以下の2つの事例について資料を収集し、探索的検討を行った。 1、地下鉄サリン事件とオウム真理教報道 1995年3月20日「地下鉄サリン事件」発生からオウム真理教麻原彰晃代表逮捕(5月16日)を含む5月20日までの2カ月間におけるオウム真理教報道について、朝日・毎日・読売新聞縮刷版を資料として関連する全見出しを収集した。その中から、キーワードとして「サリン」に注目し、サリンとオウム真理教をめぐるメディアの構築する意味ネットワークについて理論的検討を行った。また、得られたデータをもとに「荷重グラフ」を作成し、実証的分析を試みた。 2、戦後日本における「いじめ」報道 朝日新聞データベース(ASAX50yrs、HIASK89-00、オンライン記事データベース「聞蔵」)をもとに1945年〜2006年までの「いじめ」に関連する全見出しデータを収集し、「いじめ」をめぐる戦後教育と「世論」形成のメカニズムを探究した。 さらに、メディアによる誘導と謀略のネットワーク力学を理論的に明らかにするため、コミュニケーションにおける多重媒介モデルの精緻化を図り、荷重報道研究の分析手法についても検討を重ね、その有効性の検証に努めた。
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Research Products
(2 results)