2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18654073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (20112295)
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Keywords | 脳・神経 / 生体生命情報学 / 認知科学 / 自己組織化 / 生物物理 |
Research Abstract |
脳における情報処理過程、特に知覚や認知といった脳の高次機能にも確率共鳴同様のノイズ効果があると予想されるが、実験系の確立が困難であるために、高次機能におけるノイズの役割はほとんど分かっていない。それを明らかにするのが本研究の目的である。そのため本研究では、平成19年度に引き続き、知覚・認知における確率同期の存在を明確にするとともに、そのまとめを行った。 平成19年度に確立された位相ロック値(PLV)の定義、ならびにパターン相似度の定義を使って、脳波を国際10-20法によるα波ならびにγ波に焦点を絞った全頭ならびに前頭-後頭間の引き込み特性として視覚化した。これによれば視覚刺激(顔刺激、図形刺激)がα波の位相同期を誘起し、特に顔刺激では前頭部の皮質間で相互に強く同期することが分かった。すなわち刺激提示後100-200msを中心に前頭部で最も同期し、またそれが刺激の性質に依存することが明らかになった。この同期はおおよそ100〜200msしか続かず、次第に各部位で脱同期が起こる。その様子を表すのがパターン相似度で、それは無刺激時との相似性を表す。この手法では、その時間変化で、最も相似度が小さくなるときに、認識が行われたことを確認した。全域で同期がそのパターン相似度とこれまで使用されてきた事象関連電位(ERP)と比較した結果、パターン相似度がα波領域で格段に優れた認識判定指標であった。さらにパターン相似度を前頭部と後頭部とに分けて局所表示すると、視覚に与えられた刺激が図形の場合と顔の場合では、その前頭部でのパターン相似度の時間変化に大きな相違が見られ、刺激の識別が可能であることが明らかとなった。この成果をもとに視覚刺激にノイズを重ねると、最大で20ミリ秒程度、認識速度が上昇することが分かった。つまり適切なノイズの存在が認識を早めると結論された。
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Research Products
(2 results)