2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物における構造色の基礎研究-レインボーガーネットを例として-
Project/Area Number |
18654093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下林 典正 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70235688)
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Keywords | ガーネット / イリデッセンス / 構造色 / レインボーガーネット |
Research Abstract |
イリデッセンスによって虹色に輝くアンドラダイト系ガーネット(通称レインボーガーネットと呼ばれる)は世界的にも稀産な鉱物であるが,2004年に奈良県吉野郡天川村から大量に産出して,新聞誌上やテレビニュースでも取り上げられるなど大きな話題となった。本研究では,天川村産のレインボーガーネット試料についての鉱物学的研究を行なった。 現地調査の結果,同じ天川村産のアンドラダイトでも,全くレインボーを発しないものもあれば,レインボーの強いものから弱いものまで多彩であることが確認され,それらの比較研究を行なった。その結果,レインボーを放つガーネット中には,波状ラメラ組織(数μmから数十μm周期)と微細ラメラ組織(100〜200nm周期)の2種類の微細組織の共存が確認された。それに対して,レインボーを放たないガーネットについては,これらのラメラ構造はさほど発達していないことがわかり,光の波長との関連から微細ラメラの層構造による多層膜干渉がレインボーガーネットの構造色の原因であることが推察された。 この「レインボーガーネットの構造色の原因は,初生的には微細ラメラによる多層膜干渉による」との結論は,日本における「構造色」の第一人者である大阪大学の木下修一教授からもご支持いただいた。しかし,「それだけではいろいろな角度から眺めて虹色になることの説明は出来ない」とご指摘いただいたため,その副次的な効果を波状組織が担っていると考えて引き続き研究を継続させていく。 また,レインボーガーネットの構造や対称低下などについて精査する目的で,つくばの高エネルギー加速器研究機構の放射光を利用して共同実験を行なった。その結果は現在解析中である。
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Research Products
(1 results)