2006 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞殺傷法を用いた損傷修復並びに極性形成開始機構の研究
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18657065
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
米村 重信 独立行政法人理化学研究所, 細胞形態形成研究チーム, チームリーダー (60192811)
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Keywords | 損傷修復 / ミオシン / アクチン / レーザー / 細胞接着 / 収縮 / GFP / ラメリポディア |
Research Abstract |
本年度は実験系を確立し、基礎データの検討を行なった。単一細胞の殺傷の方法として、レーザー光の熱によるものと、ピエゾ素子の高速振動により細胞膜を傷つけるという二つの方法を比較した。素早さ、簡便さにおいてレーザー光が圧倒的に便利であり、主として使用することにした。傷口の周辺の細胞が修復を行なう時の様態と細胞のタイプとの関係の検討を次に行なった。極性化した上皮細胞(細胞の周りを隙間なく接着構造が取り巻いている)の場合はアクトミオシンによるリングが傷口の周囲の細胞を貫くように形成され、その協調的な収縮によって傷口の修復と死細胞の排除が行なわれる。極性化の弱い上皮細胞や繊維芽細胞(細胞間の接着構造に大きな隙間が見られる)では、リングは形成されず、ラメリポディアの形成とそれにともなう個々の細胞の移動によって修復が行なわれた。このように細胞間の接着の様式により、修復の機構は異なるようである。極性化した上皮細胞でもミオシンの収縮を薬剤により阻害すると、ラメリポディアにより細胞の基底側では傷口は修復した。しかし、アピカル側では修復は起こらず、死細胞の排除もできなかった。このことから、リングを作る細胞でも基本的にはラメリポディアによる修復機構は持っていること、また、リングの形成、収縮は死細胞を排除するような力強く素早い修復に必要であると考えられた。リングによる修復の過程を詳しく解析するために、GFP融合ミオシン分子を発現する上皮細胞株を樹立し、リングがどのように出現し、収縮しながら傷を塞いでいくかをライブイメージングによって解析をした。リングはアピカル近くの接着装置近傍に形成され、収縮するとともにミオシンの集積も増加する。さらに基底側へと降りながら、死細胞を上へ持ち上げ傷口を塞ぐことがわかった。
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Research Products
(4 results)