2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子機能阻害を基礎としたアミノ酸の情報伝達機構の解析
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18658053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 久典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (40211164)
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Keywords | アミノ酸 / 情報伝達 / IGFBP-1 / PEPCK / ATF / インスリン受容体 / ノックダウン / クロマチン免疫沈降法 |
Research Abstract |
本年度はまずアミノ酸の情報伝達機構を解析するためのモデル系の評価および用いる細胞系での遺伝子ノックダウン効率の改善を試みた。まず従来から利用してきたIGFBP-1遺伝子の転写調節系に関しては、全アミノ酸欠乏とロイシン欠乏以外にどのようなアミノ酸の欠乏に応答するかをHepG2細胞により広範に解析したところ、Thr、Met、Hisなどがこの遺伝子を強く制御していることが明らかとなった。非必須アミノ酸の単独の過剰もこの遺伝子の発現を上昇させることも明らかとなった。さらに、他の実験系として、PEPCK遺伝子もアミノ酸欠乏に良く応答することがわかった。アミノ酸欠乏の情報を担っていることが強く示唆されている転写因子ATF-4をノックダウンした場合、IGFBP-1およびPEPCK遺伝子のアミノ酸欠乏への応答が著しく損なわれることが明らかとなった。クロマチン免疫沈降法を用いて、ATF-3およびATF-4がIGFBP-1遺伝子のどの部位に結合して遺伝子発現を制御しているかを解析したところ、数kb上流にある3つの結合部位のうち、最も上流の部位に対するこれらの転写因子の結合がアミノ酸欠乏に最も顕著に応答することがわかった。さらに、アミノ酸欠乏によるインスリン受容体基質(IRS-1)の脱リン酸化についても情報伝達機構を探る目的で、各種ホスファターゼのノックダウンを行った。PP1cおよびPP2Aのノックダウンにおいてアミノ酸の効果が減弱したので、これらのホスファターゼを介した伝達経路が重要であると考えられた。
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