2006 Fiscal Year Annual Research Report
マダケ属における花成制御遺伝子群の単離と導入によるタケ類の増殖制御技術の開発
Project/Area Number |
18658062
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小林 幹夫 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80111392)
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Keywords | Bamboos / 一斉開花 / 花成制御遺伝子 / マダケ属 / phyllostachys / PmFT / タケ類 / 増殖制御技術 |
Research Abstract |
タケ類は再生容易なゼロ・エミッション素材として産業や環境保全への貢献が期待される反面、近年、各地で放棄竹林の異常増殖が問題視され、抜本的な増殖制御技術の開発が求められている。本研究では、タケ類の一斉開花を制御する遺伝子をクローニングし、未開花個体に導入し強制発現させることにより、開花結実後、クローンを枯死させる技術の開発を目標とした。 マダケ属において、一斉開花性が強く、満開時と、その後に出現する再生竹とで異なった花序をつけるモウハイチクPhyllostachys meyeri、斑入りと開花枯死が共役するホテイチクP.aureaならびに3種類の異なった開花周期を持つモウソウチクP.pubescensのそれぞれからイネ花成制促進遺伝子RF刀ホモログの断片を単離し、これらの開花挙動と塩基配列の変異パターンを比較した。その結果、モウハイチクでは、一斉開花時と再生竹では、異なった遺伝子が発現すること、斑入りのシマホテイでは、トランスポゾンの活動の痕跡を示す配列が検出され、モウソウチクにおける開花周期の変異は花成促進遺伝子とは関わりのないことが明らかとなった。 世界の代表的なタケ類26種について、イネ科の中で第2に祖先的な位置を占めるPharusを外群とした系統類縁関係の解析を行い、花成促進遺伝子の進化傾向を調べた。その結果、マダケ属の花成促進遺伝子は4回の系統分岐を起こしたことが示唆された。この結果は、ゲノミックサザン・プロット法による推定コピー数が4個であることにより支持された。 モウハイチクの花成促進遺伝子PmFTをクローニングし、全塩基配列を決定(AB240578)するとともに、花序の形態を支配し、開花に抑制的に働くと考えられる花成抑制遺伝子CENホモログをクローニングした。現在、これらの遺伝子群を未開花個体に導入するためのベクター系の開発の準備を進めている。
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Research Products
(1 results)