2006 Fiscal Year Annual Research Report
尾虫類大量培養法の開発とヒラメ仔魚の成長、発育に対する尾虫類摂餌の効果
Project/Area Number |
18658079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 洋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60346038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 洋明 水産総合研究センター, 中央水研, 研究員 (00371873)
田川 正朋 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20226947)
今井 一郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (80271013)
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Keywords | 尾虫類 / ワカレオタマボヤ / 大量培養 / ヒラメ / チロキシン / 変態 / 種苗生産 |
Research Abstract |
相模湾の表層海水を採集して中央水産研究所浅海増殖部へ持ち帰り、海水中からハウスを被った状態の尾虫類(ワカレオタマボヤ、Oikopleura dioica)を取り出し、新しく考案した3リットルの小型回転飼育装置に移し培養試験を行った。ワカレオタマボヤの餌料として天然濾過飼育海水に含まれる植物プランクトンを用いた。飼育水温は15℃および20℃とした。2006年4月から10月まで飼育を行い、最高で12世代までの継代を確認した。また、個体数は、1世代の飼育日数の経過に従い減少する傾向にあったが、ヒラメ仔魚の餌料として適切なサイズと考えられる孵化後2〜3日目(水温15℃)の個体数は、これまで報告されている1リットルあたり10個体を遙かに越え、1リットルあたり最大300個体に達する増殖に成功した。初年度は、100リットル水槽により1000個体の尾虫類生産を目標としたが、それを3リットル水槽でほぼ達成できた。現在、培養した数種の植物プランクトンを用いて、30リットル水槽による大量培養試験を実施中である。 魚類の変態に関わる物質であるチロキシンが尾虫類に含まれているかどうか確認するために、上記生産システムを用いてワカレオタマボヤ単種を大量に生産し、ラジオイムノアッセイ法によりチロキシンを測定した。測定には天然餌料により飼育された尾虫類のハウスを除いた本体を用いた。測定の結果、尾虫類にチロキシンは含まれていないことを確認した。これより、ヒラメ仔魚が尾虫類摂餌により、体外からチロキシンを補助的に取り込んでいる可能性は否定された。ただし、チロキシンは検出されなかったが、尾虫類の体内にはチロキシンの前駆体物質もしくはヨードが存在し、それらをヒラメ仔魚が取り込むことでヒラメ体内でのチロキシン生成を助けているという可能性も考えられる。
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Research Products
(1 results)