2006 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病およびアルツハイマー病で共通に凝集するセプチン蛋白質の解析
Project/Area Number |
18659111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 専 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30273460)
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Keywords | 細胞骨格 / 神経変性疾患 / シヌクレイン / タウ蛋白質 / 生化学 |
Research Abstract |
Sept4のloss of functionがパーキンソン病において果たす役割を検討するため、家族性パーキンソン病モデルの1つ、変異型ヒトシヌクレイン過剰発現マウスにおいてSept4を欠損させた。すると驚くべきことに、これらのマウスでは神経症状が早期発症し、アミロイド化したリン酸化シヌクレインが神経組織に高度に蓄積していた。このマウスモデルの病態を詳細に検討し、臨床検体、生化学的手法を用いた検討を重ねた結果、少なくともパーキンソン病の大多数を占める孤発例においてはSept4が蓄積している症例が見っからないだけでなく、多くの例で減少していた。以上を総合すると、孤発性パーキンソン病においてSept4はむしろ脆弱性因子ないし感受性因子(善玉)とみなすべきことがわかった。そこで、「Sept4がレビー小体へと隔離され、シナプス膜から枯渇することがドパミン神経伝達障害を引き起こすとともに、シヌクレインの凝集・変性を加速する」という独自の病態モデルとともにdual susceptibility hypothesisを提案した。パーキンソン病に代表されるシヌクレイン病においてSept4がシヌクレインの凝集と有毒化を抑制するメカニズムの研究は、構造情報と併せて神経保護治療法の研究開発において有益な情報をもたらすと期待される。当該研究論文に関する2つの解説記事(Spencer et al., Climbing the scaffolds of Parkinson's disease pathogenesis. Neuron 53,469-470,2007およびAlzforum http://www.alzforum.org/new/detail.asp?id=1534)でも紹介されているように、Sept4はアルツハイマー病など他の重要な神経変性疾患においても高頻度に凝集することから、本研究で得られた知見やモデル動物には神経変性疾患研究への幅広い応用が期待されている。
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Research Products
(6 results)