2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しいIL-6/12関連サイトカインIL-27による造血幹細胞の増殖・分化の制御
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18659286
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80202406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 啓光 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40175485)
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Keywords | IL-27 / 造血幹細胞 / 増殖 / 分化 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
平成18年度は、IL-27を血中に高濃度産生しているトランスジェニックマウス(Tg)マウスを2系統樹立し、これらマウスを用いて、IL-27の造血幹細胞の増殖・分化における作用について検討を行った。いずれのマウスも血中に導入したIL-27を1ng/ml弱位発現していた。まず、これらのマウスの性別や週令毎に各臓器の重さを測定したところ、2系統とも約2倍の脾臓の増大が見られた。さらに各組織での組織学的解析を行ったところ、脾臓において髄外造血と巨核球の増加が、さらに骨髄においても巨核球の増加が見られた。そこで、次にFACSを用いて各種の抗体で染めて解析した結果、胸腺においては、若干の全細胞数の減少が見られたがDN, DP, CD8SP, CD4SPの細胞の割合はほとんど変わらなかった。脾臓では、全細胞の増加と、B細胞を除く他の細胞の数の増加が見られたが、細胞の割合ではMyeloid細胞とCD41陽性細胞が増加し、逆にB細胞の割合が減少していた。骨髄では、全細胞数の若干の減少し、Myeloid細胞とCD41陽性細胞では細胞数と割合とも増加し、各分化ステージのB細胞の細胞数と割合ではいずれも減少していた。末梢血では脾臓と同様に、B細胞の割合の減少が見られ、腹腔内では特にB1細胞の割合が減少していた。次に、寿命を比較したところ、IL-27Tgの2系統で生後10ヶ月でそれぞれ約50%と約10%の死亡率であり、いずれも早死であった。死ぬ間際には、貧血と体重減少が見られるマウスが多かった。そこで、次に、骨髄での造血幹細胞の割合を比較すると、いわゆるCD34^-/c-kit^+/Sca-1^+/Lin^-のCD34^-KSL細胞の割合は約50倍に増加していたが、SP陽性の細胞の割合はほとんど変わらなかった。以上より、IL-27は造血幹細胞へ直接作用して増殖分化の制御に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)