2007 Fiscal Year Annual Research Report
腱靭帯損傷後のSDF-1の発現の変化とその骨髄間葉系幹細胞による修復への影響
Project/Area Number |
18659432
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末永 直樹 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (70261310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 倫政 北海道大学, 大学病院, 講師 (30322803)
|
Keywords | 靭帯損傷 / SDF-1 / 骨髄間葉系幹細胞 / ラット |
Research Abstract |
本年度研究によりSDF-1の靭帯損傷後の治癒過程に対する作用に関して、以下の結果が得られ、その成果は現在国際ジャーナルに投稿中である。 1. ラット膝内側側副靭帯損傷モデルにおいて、損傷靭帯局所でのSDF-1mRNAの発現が有意に上昇していることを証明した。この結果は、SDF-1が損傷靭帯の自然治癒過程においてなんらかの機能を持つことを示唆するものである。 2. SDF-1mRNA発現上昇の時期と、骨髄間葉系幹細胞の局所集積時期に相関性が認められた。これらの結果より、腱・靭帯の損傷後には局所でのSDF-1の発現が上昇し、それにより骨髄間葉系幹細胞のhoming現象が促進され、治癒過程が促進されるという仮説をたてることが出来た。 3. SDF-1のfibroblastに対する細胞増殖作用や器質産生促進等の直接的細胞活性作用は有意なものではなかった。 4. SDF-1の局所投与(外因性)により骨髄間葉系幹細胞の局所集積が生じ、損傷靭帯の治癒促進作用が示された。 以上の結果より、SDF-1は靭帯損傷後の治癒過程において直接的に局所の線維芽細胞に作用するのではなく、骨髄間葉系幹細胞の損傷部への集積を促進し、集積した骨髄間葉系幹細胞により間接的に治癒作用を促進させると推測された。将来的には、靭帯損傷部にSDF-1を投与することにより靭帯損傷部の治癒過程を促進させる新規の治療法の開発が可能になると思われる。
|