2006 Fiscal Year Annual Research Report
宿主免疫細胞から攻撃されアポトーシスに陥った細胞を組織学的に同定する方法の開発
Project/Area Number |
18659482
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齋藤 滋 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (30175351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 有宏 富山大学, 附属病院, 助手 (00235491)
中村 隆文 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (20303969)
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Keywords | アポトーシス / 組織学 / 流産 / 癌 / NK細胞 / Granulysin |
Research Abstract |
異物である胎児や、癌精巣抗原を持つ癌細胞を宿主は認識しており、着床不全・流産や癌細胞の排除に働いていることは実験動物では証明されてきたが、ヒトにおける疾患レベルでは未だに直接的に証明されていない。これは宿主免疫細胞から攻撃されて死に至った細胞を同定する良い指標がないからである。 我々は活性化NK細胞や細胞傷害性T細胞に発現する顆粒内蛋白で、標的細胞をアポトーシスに至らしめるGranulysin(Gr)に着目し、まず流産症例で、絨毛細胞が宿主免疫細胞から産生されるGrで傷害されるかを検討した。 免疫組織染色法で流産症例基底脱落膜中のGr、Granzyme B, Perforin発現細胞を検討すると、Gr陽性細胞のみが正常妊娠例に比して増加していた。さらにFlow cytometry法にてGr発現細胞がCD16^-CD56^<bright>NK細胞であることを同定した。脱落膜リンパ球をIL-2で24時間培養するとNK細胞はGrを発現するようになり、絨毛外トロホブラスト(EVT)のcell lineであるHTR8細胞をアポトーシスに陥らせた。活性化NK細胞とHTR8細胞の共培養12h後ではHTR8細胞の細胞質にGrを認め、24h後にはGrは核に移行し、その後アポトーシスが生じた。GFPにGrを連結したプラスミッドをHTR8細胞に遺伝子導入しても、細胞内のGrが核内に移行した後にアポトーシスが生じた。アポトーシスは種々のカスパーゼ阻害剤を使用しても減少せず(カスパーゼ非依存症)、核内にGrが移行してからapoptosis induce factor(AIF)が核内に集積することも見出した。 以上より、標的細胞の核内へのGr集積が、宿主細胞の攻撃によるアポトーシスの一指標となる事が判明した。EVTならびに自由絨毛細胞の核内のGr染色を検討すると、流産症例の基底脱落膜のEVT核内にGr染色が認められ、本細胞ではTUNEL染色陽性であった。以上より、宿主細胞により攻撃されアポトーシスに陥った細胞をヒト疾患レベルで初めて同定できた。今後、癌症例においても検討を予定している。
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Research Products
(12 results)