2007 Fiscal Year Annual Research Report
宿主免疫細胞から攻撃されアポトーシスに陥った細胞を組織学的に同定する方法の開発
Project/Area Number |
18659482
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齋藤 滋 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30175351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 有宏 富山大学, 附属病院, 講師 (00235491)
中村 隆文 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (20303969)
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Keywords | アポトーシス / NK細胞 / トロホブラスト / 細胞傷害 / グラニュライシン / 可視化 / 妊娠 |
Research Abstract |
胎児は母体にとって異物であるため、母体免疫細胞により攻撃されれば流産となる可能性がある。事実、流産例で絨毛外トロホブラスト(EVT)にアポトーシスが生じることは、これまで多く報告されてきたが、これが免疫細胞の攻撃によるものかは証明されていない。 我々は、まず免疫組織学検討で、CTL、NK細胞から産生され細胞死を引き起こすGranzyne B(Gr)、 Perforin (Perf)、Granulysin (Grn)につき検討したところ、流産症例の基底脱落膜中にGrn陽性の細胞が多数存在することを見い出した。一方、Perf陽性細胞、GrB陽性細胞数には差を認めなかった。そこでGrn陽性細胞を二重免疫組織法ならびにflow cytometry法にて検討したところ、CD56^bright NK細胞にGrnが強発現していることが判った。さらに流産症例でアポトーシスを起こしているEVT細胞の核にGrnが存在することを免疫蛍光染色法で見い出した。そこで脱落膜CD16^-CD56^+NK細胞を純化し、IL-2で刺激してからEVT cell lineと共培養させると、EVT細胞の細胞質内にまずGrnが局在し、やがて核に移行するに従いアポトーシスが生じた。そこでGrnを可視化するためGFP-Grnベクターを作製し、EVT細胞株にトランスフェクションしたところ、細胞質から核へGrnが移行するにつれ、EVT細胞がアポトーシスになることが判明した。また40KD以上のGFP・GFP-Grnベクターを作製し単純拡散で核に移行できないGrnを発現させてもGrnは核に移行したことから、Grnは能動的に核へ移行し、細胞をアポトーシスに陥らせることを証明した。以上、流産症例のEVT細胞の核に認められたGrnは、母体由来の子宮NK細胞に由来し、これらNK細胞が児のEVT細胞を攻撃しアポトーシスを起こしていることを初めて証明した。
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Research Products
(19 results)