Research Abstract |
1.ラット咬筋組織内で筋収縮後に生じる生物学的な反応 6週齢雄性ラットを対象とし,持続反復筋収縮モデルである電気刺激群と,筋組織に炎症を惹起するカラゲナン注入群,末梢性筋弛緩剤投与後,電気刺激を行った筋弛緩剤投与下電気刺激群の3実験条件を設定した.各個体の左側を刺激側,右側を擬似刺激側とした.実験終了後,両側咬筋から筋組織を回収し,total RNAを抽出した.リアルタイムRT-PCR法によりil-6とil-1βの発現レベルを測定し,cyclophilin Aの発現レベルで標準化した後,各条件における刺激側と擬似刺激側の差を検討した.刺激側のil-6の発現レベルは,電気刺激およびカラゲナン注入により擬似刺激側に比較して有意に上昇した.また,電気刺激で上昇するはずの実験側il-6の発現レベルは,筋弛緩剤投与により上昇が抑制された.一方.カラゲナン注入により,刺激側のil-1βの発現レベルは上昇したが,電気刺激では上昇しなかった.以上より,持続反復筋収縮は,il-1βの発現レベルの上昇を伴わないで咬筋組織内のil-6発現レベルを上昇させることが明らかになった.すなわち,筋痛が発症しやすい持続的な筋収縮後には,筋組織内にインターロイキン6が大量に産生されることが明らかとなった. 2.経皮的近赤外線レーザー照射が筋組織内血管径調節に与える影響 10名の健常男性被験者を対象とし,僧帽筋に経皮下に10分間近赤外線レーザー(SuperLizer)照射後と,擬似照射10分後における,筋組織内血流,酸素飽和度を比較した.その結果,レーザー照射後には,総ヘモグロビン量,酸化ヘモグロビン量,酸素飽和度が有意に上昇していることが明らかとなった.すなわち,レーザー照射により,筋組織中の血管拡張作用が優位となることが推測された.
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