2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18680033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平田 普三 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (60402450)
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Keywords | 分子生物学 / 発生生物学 / 電気生理学 / 神経 / 運動 / 行動 / グリシン受容体 / シナプス |
Research Abstract |
抑制性神経伝達は物質受容体であるグリシン受容体は脊椎動物の中枢神経に広く存在している。これは分子量48kDのα、58kDのβという2種類のサブユニットからなる5量体であり、このうちβサブユニットが膜裏打ちタンパクであるゲブリンと相互作用することで、受容体を後シナプスに凝集させている。培養細胞を用いた過去の知見から、グリシン受容体の凝集が受容体の活性に依存することが示唆されていたが、そのメカニズムは解明されていない。 本研究では発生が早いゼブラフィッシュを用いて、脊髄神経細胞の発達過程におけるグリシン受容体の凝集が活動依存的に起こることを記述し、その分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。平成18年度はまず、グリシン受容体の凝集がどのような時間経過で起こるかを定量的に解析した。受精後24時間のステージでは凝集は観察されないが、48時間から96時間にかけてクラスターが増加し、96時間から120時間にかけて減少し、安定する特徴的な変動をすることを見いだした。とりあえず多めにクラスターを作り、必要なものを選択して残していると考えられる。ストリキニンは植物から抽出される毒物で、グリシン受容体を特異的に阻害することが知られている。発生過程のゼブラフィッシュにストリキニンを作用させてグリシン受容体を介する神経伝達を阻害すると、グリシン受容体のクラスターが見られなかった。グリシン受容体遺伝子の転写、翻訳、また膜表面へのタンパクの発現には異常はなく、凝集に異常があることが分かった。これはグリシン受容体の凝集が発生過程においても活動依存的であることを示している。 平成19年度はグリシン性神経伝達に依存するグリシン受容体凝集の分子メカニズムを解析する予定である。また、受容体凝集の異常による神経活動の異常、その結果として観察される運動の異常も合わせて解析したい。
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