2006 Fiscal Year Annual Research Report
北極海における環境変動の監視・実態把握に向けた自律型無人小型飛行機の応用
Project/Area Number |
18681004
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
猪上 淳 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (00421884)
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Keywords | 北極海 / 海氷 / UAV / 地球温暖化 / ノルウェー |
Research Abstract |
今年度は平成19年度の観測のための準備,及び既存データを用いた予備解析を行った. 1.観測準備: 観測サイトの候補地であるノルウェーのスピッツベルゲン島ニーオルスンにて情報収集のための現地視察を行った.ニーオルスンには国立極地研究所の観測基地「ラベン」があり,そこを滞在場所として観測が行えることを確認した.ニーオルスンは各国の観測基地があり,そこを管理・運営するのが「Kings Bay社」である.そこへ本研究課題についての詳細を伝え,平成19年度夏に無人小型飛行機(UAV)による観測を行うことを了承してもらった.「ラベン」の近辺には滑走路があり,ここからUAVを離陸させることも可能であることを確認した. スピッツベルゲン島の中心都市であるロングイヤービンも訪問し,大学(UNIS)にてノルウェーで作成しているUAVについての情報を得た.研究当初はオーストラリアの「エアロゾンデ」を利用する予定であったが,自国(ノルウェー産)のUAVを利用する方が,航空法や機材輸送などの面で有利であり,費用対効果にも優れていることが判明した.従って,ノルウェーのUAVを本研究で利用することに決めた. 平成19年度の具体的な観測日程は未定であるが,7月から8月の間に行うことをUAVの会社(Nrut IT社)に伝えた.平成19年度の予算額から3週間程度の期間に合計50時間の観測飛行ができる見込みである.UAVには気象センサーのほか,海氷を撮影するためのカメラを搭載する予定である.平成19年5月にUAVの試験飛行がロングイヤービンにて行われるため,そこでUAVの動作確認を十分行ってから観測実施の最終判断を行う. 観測の際「ラベン」に長期間滞在するため,平成19年度国立極地研究所共同研究(担当教官:山内教授・平沢助手)を申請中である. 2.予備解析: 過去にアラスカで行われた観測データを用いて,海氷上に形成されるmelt pondの画像解析を行い,観測衛星による海氷密接度データとの比較を行った.これによると,衛星データはmelt pondによって約7%海氷密接度を過小評価していることが分かった.この成果は国内外の学会で発表し,現在海外学術誌に投稿中である.
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