2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温プロセスで生成するハロゲン系汚染物質の分子レベルでの機構解明と制御法の構築
Project/Area Number |
18681011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坪内 直人 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (90333898)
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Keywords | 高温プロセス / de novo合成 / 残留性有害有機ハロゲン化合物 / 塩化水素 / フッ化水素 / 未燃炭素 / 炭素活性サイト |
Research Abstract |
本研究では、石炭やバイオマスの熱変換工程における塩化水素(HCI)とフッ化水素(HF)の発生速度をオンラインで追跡する一方、HCIやHFと炭素物質との反応を分子レベルで解析して、炭素のミクロ構造に基づいた残留性有害有機ハロゲン化合物の生成メカニズムと排出抑制法を構築することを主な目的とする。 特に本年度は、これまで殆んど研究されていない石炭からのHFの脱離挙動をオンラインで直接定量し、その生成を支配する要因を解明に取り組んだ。その結果、以下の結論を得た。 1. 石炭の熱分解時には微量のHFが400℃と700℃で発生したが、Fの大部分はチャー(熱分解後の固体残さ)中に保持され、これは少量のH_2O存在下1000℃でも安定であった。 2. O_2流通下1000℃では多量のHFが生成し、その速度はチャーの燃焼がほぼ完了した後に著しくなった。 これらの結果より、Fは石炭中のIncluded Mineralとして存在し、未燃炭素に残留する可能性が強く示唆された。 また、高温プロセスの排ガス処理工程におけるHClと未燃炭素との反応による有害有機塩素化合物(前駆体)の生成機構を明らかにするため、100〜300℃の低温域で純炭素上に100ppmHCl/N_2ガスを流通した結果、 3. HClは炭素物質と容易に反応し、その程度は金属イオンの存在下で大きく、無機塩化物、有機塩素種ならびに化学吸着したHClに変化した。 4. 300℃におけるHCl反応量と有機塩素種の生成量は、炭素活性サイトが多い試料で多い傾向にあり、表面酸素種がHClとの反応サイトとして機能することが明らかとなった。 以上より、有害有機塩素化合物はHCl(あるいはCl_2)と排ガス処理工程で形成された炭素活性サイトならびに活性な金属種との相互作用を通して生成すると推論された。今後は、排ガス雰囲気をシミュレートした酸化性ガス中におけるHClと炭素との反応挙動の解明が重要である。
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Research Products
(12 results)