2007 Fiscal Year Annual Research Report
視線が持つ社会的機能の個体発生・系統発生的起源に関する実験的研究
Project/Area Number |
18683006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋彌 和秀 Kyushu University, 人間環境学研究所, 准教授 (20324593)
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Keywords | 視線 / コミュニケーション / 社会的機能 / 進化 / 発達 |
Research Abstract |
本研究では、視線が果たすコミュニケーション上の機能に2つの側面からアプローチしている。ひとつめは個体発生的アプローチ、すなわち、コミュニケーションにおける視線使用が発達過程においてどのように変化するのかという側面、ふたつめは系統発生的アプローチ、すなわち、視線利用やその基礎となる能力がヒトの進化の過程でどのようにして実装されてきたのかという側面に、並行して着目しながら実証的な研究を進めることを企図している。 本年度は、「自分の方を向いた視線(Directed Gaze)」が、乳児において感覚性強化子として機能すること、すなわさ、生後5-6ケ月児において、ある行動(紐を引くという行動)のフイードバツクとして「自分の方をいた動の頻度に上昇傾向が見られないことを、独自に開発した実験装置のもと、オペラント条件付けの手続きによってはじめてあきらかにした。「自分の方を向いた視線」が発達早期から検出可能であり、コミュニケーション上で重要な機能を持つことはさまざまな視線研究の文脈上で指摘されていたが、実証的な手続きを元にその強化力を示した研究は皆無に近く、本研究の目標である視線の持つ社会的機能に迫る新たな知見といえる。今後は、すでに導入して稼動している新たな視線解析システムによって、より詳細な分析を継続したい。
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Research Products
(6 results)